コマツ、中型ショベルの「マルチ解体仕様機」発売、1台で高層から基礎まで対応

 コマツは7月8日、中型油圧ショベル「PC228USLC-11」のマルチ解体仕様モデル(最大運転質量34.1トン)を2025年5月より発売したと発表した。4種類の作業機を用途に応じて選択・装着できる汎用性の高い構成で、都市部の複雑な解体現場における生産性と安全性の向上を狙う。公表価格は全作業機装備時で7,380万円、年間販売目標は30台。

 近年、都市部では中高層の鉄筋コンクリート建物の解体需要が増加する一方で、現場は狭小かつ複雑化しており、従来は複数の専用機を使い分ける必要があった。本機は、1台のベースマシンに対して、用途に応じて以下の4種類の作業機を選択・装着できるマルチ仕様を採用。解体作業の効率化と機械の集約によるコスト削減を図る。

■4種の作業機で多様な解体現場に対応
1. 解体ロングフロント
 中高層建物の解体に対応し、最大作業高さは15m(インサートブーム追加時は18m)。
2. 解体2ピースブーム
 低・中層階の解体に適し、最大作業高さは11m。基礎や壁の倒し作業など、狭小スペースでの作業性に優れる。
3. ショート作業機
 低層や階上解体に最適。コンパクトな作業範囲で大型アタッチメント(1.2㎥クラス)にも対応可能。
4. 掘削作業機
 がれきの集積や積み込みなど軽作業向け。標準車と同等のベントポジションに加え、ストレートポジションにも切り替え可能で作業範囲を拡大。

■組立性と安全性を高める新設計
 新たに採用された接続部の設計により、ブームと作業機の位置合わせが容易となり、現場での交換作業を短時間かつ安全に行える。また、解体2ピースブームと掘削作業機には、吊り作業対応のアームクレーンもオプションで用意し、さらなる作業の幅を広げている。

 都市の高度な解体ニーズに応えるこの新型機は、「1台で多用途」の柔軟性と現場対応力を備えた解体機の新たな選択肢として注目されそうだ。

 仕様など詳細は、ニュースリリース