三菱重工、苫東厚真発電所向け国内最大級のCO₂回収設備の基本設計を受注

・JOGMECの先進的CCS事業に参画、カーボンニュートラル実現へ前進

 三菱重工業は7月7日、北海道電力苫東厚真発電所(北海道苫小牧市)向けに国内最大規模となるCO₂回収設備の基本設計(FEED:Front End Engineering Design)を受注したと発表した。発電所の排ガスから1日あたり5,200トンのCO₂を回収する構想で、三菱重工の独自技術を基に主要装置や仕様を検討。将来的な設備導入を見据えた準備を進める。

 この案件は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が推進する「先進的CCS事業」の一環。北海道電力が石油資源開発、出光興産とともに同事業の設計作業を受託しており、今回の回収設備はその中核をなす。苫東厚真発電所で回収したCO₂は、苫小牧沖の深部塩水層に地中貯留する計画で、2030年時点で年間150万~200万トンの貯留を目指す。

 同地域は、経済産業省から全国で初めてCCS事業法に基づく「特定区域」に指定されており、既に試掘などの準備が進められている。

 三菱重工は、カーボンニュートラルの達成に向けた戦略「MISSION NET ZERO」を掲げており、CO₂回収・貯留・有効利用を一体的に進めるCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)のバリューチェーン構築を推進している。今回の受注もその取り組みの一環と位置づけ、CO₂排出削減に向けたグローバルな貢献を強化していく。

 三菱重工のCO₂回収技術は、関西電力との共同開発により1990年代から進化を続けており、「KM CDR Process™」や、改良型の「Advanced KM CDR Process™」を通じて、これまでに18基のプラントに導入されている。最新の吸収液「KS-21™」は、従来の「KS-1™」に比べて再生効率が高く、エネルギー消費と運用コストを抑えられるほか、アミン排出の低減にも効果があるとされる。

 三菱重工は今後も、先進技術を活用したCCUSソリューションの開発を加速させ、温室効果ガスの削減と環境保全に貢献していく考え。

 画像:北海道電力苫東厚真発電所(北海道電力株式会社提供)

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