川崎重工業は7月4日、台湾の電子機器大手・鴻海科技グループ(フォックスコン)と共同で、看護師の業務を支援する自律型ロボット「Nurabot(ヌーラボット)」を開発したと発表した。2026年度の市場投入を目指し、2025年4月から台湾・台中市の国立病院「台中栄民総医院」で実証実験を開始している。
深刻化する医療現場の人手不足に対応するため、Nurabotは看護師の業務を代替・支援する目的で設計された。川崎重工が開発した自律走行型ソーシャルロボット「Nyokkey(ニョッキー)」をベースに、物品を運搬できる荷室や物をつかむ2本のアーム、自律走行機能を備える。採血後の検体や薬剤の輸送、入院時の案内、患者向けの衛生教育といった業務を担うことで、看護師の負担軽減を図る。
川崎重工の産業用・ソーシャルロボット開発で培った技術と、鴻海のソフトウェア開発力を融合し、臨床看護に知見のある台中栄民総医院の協力を得て、現場ニーズに即したロボットとして開発された。
Nurabotの基盤となったNyokkeyは、製造業に限らず、医療・介護・飲食・インフラ施設など幅広い分野で活用可能な汎用型プラットフォームとして開発されたもので、今回のNurabotは海外医療分野での初の導入事例となる。
鴻海科技グループ・B事業群総経理の姜志雄(ジャン・ジーシュン)氏は「看護師の過酷な労働環境の改善に貢献したいという想いのもと、川崎重工との協業に大きな期待を寄せている」と述べた。川崎重工・精密機械・ロボットカンパニープレジデントの松田義基氏も「両社の強みを活かしながら、医療現場の環境改善に資するソリューションとしてNurabotの開発を進めていく」と語っている。
川崎重工は、今後も鴻海との協業を通じて、医療分野でのデジタル変革と業務プロセスの最適化を目指す方針。
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