・米国関税政策の影響で需要の先行きに不透明感
安川電機が7月4日に発表した2026年2月期第1四半期(2025年3~5月)連結業績によると、売上収益は前年同期比5.1%減の1,256億42百万円 、営業利益は同5.5%減の105億 3百万円 、親会社の所有者に帰属する当期利益は同24.4%減の69億52百万円 となった。受注残の正常化を進めた前年同期に比べ売上収益は減少したが、受注の回復を確実に売上につなげ想定通りの着地となった。利益面については売上収益の差異により減益となったが、各セグメントにおける付加価値の向上によって前年同期の営業利益率を維持した。
■地域別経営環境
日本: 半導体・電子部品関連の需要は底堅く推移し、一般産業においても堅調な需要が見られた。一方で、自動車市場では設備投資が伸び悩んだ。
米州: 自動車市場は米国関税の影響による先行き不透明感が強まっており、オイル・ガス関連需要も原油価格下落の影響を受けた。また、半導体市場では在庫調整の影響が見られたものの、空調関連や一般産業における自動化需要は堅調に推移した。
欧州: 製造業全般における需要は低調に推移し、自動車関連の需要も米国関税などの影響を受けた。
中国: 自動車市場における需要は底堅く推移したものの、米国関税の影響により投資案件の延期や見直しの動きが見られた。
中国除くアジア:韓国においては、半導体関連の需要が伸び悩む一方で、自動車関連の需要は堅調に推移した。アセアン各国においては、米国関税の影響を受けインフラ関連の需要は鈍化傾向となった。
■セグメント別経営成績
<モーションコントロール>
売上収益 556億59百万円 (前期比 △ 6.2% )、営業損益 50億37百万円 (前年同期比 △10.5% )
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で 構成。
売上収益は、受注残の正常化を進めた前年同期に比べ減収となったものの、日米の需要を確実に捉え、想定通りの着地となった。利益面については、付加価値の改善や間接費の抑制などがプラスに寄与したが、売上減少に伴う利益減の影響により減益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 日本において半導体・電子部品市場向けの販売が増加したものの、全体の売上収益は微増となった。
〔インバータ事業〕 受注残の影響により前年同期比で減収となった。オイル価格低下の影響による米国オイル・ガス関連の投資延期の影響を受けたが、ほぼ想定通りの着地となった。
<ロボット>
売上収益 556億33百万円 (前年同期比 △2.5% )、営業損益 50億 6百万円 (前年同期比 +4.5% )
為替の影響により減収となったが、自動化需要をグローバルで確実に捉え、売上収益は堅調に推移した。韓国などの自動車市場における大口案件や、日本の一般産業分野の売上増加が寄与した。利益面については生産稼働率の改善や内製化の効果などにより増益となった。
<システムエンジニアリング>
売上収益 92億68百万円 (前年同期比 △11.6% ) 、営業損益 10億28百万円 (前年同期比 △2.5% )
鉄鋼プラント関連の販売が堅調に推移したが、上下水道用電気システムおよび港湾クレーン関連の販売が減少し、売上収益は前年同期比で減少した。利益面については、鉄鋼プラント関連の販売増加により採算性が改善したものの、売上減少に伴う利益減の影響により減益となった。
<その他>
売上収益 50億81百万円 (前年同期比 △7.8% )、営業損益 3億82百万円 (前年同期比 +53.0% )
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成。売上収益は減少したが、営業利益はその他の収益の増加などにより前年同期比で増益となった。
■2025年2月期業績予想
2026年2月期の業績予想については、米国の関税政策の影響により需要の先行きに不透明感が高まったことから、2025年4月4日に公表した2026年2月期通期連結業績予想を以下のとおり修正した。
売上収益5,150億円(前期比4.2%減)、営業利益430億円(14.3%減)、税引前利益455億円(42.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益330億円(42.1%減)。
2025年6月1日から2026年2月28日までの期間における平均為替レートは、145円/米ドル、 160円/ユーロ、20円/元、0.11円/ウォンを想定している。
コメントを投稿するにはログインしてください。