・物流の構造転換に対応、三次元ピッキングで「高速処理」と「高密度収納」を両立
イトーキ(東京都中央区)は7月4日、物流現場の再編が進む中、保管機能の最適化と荷揃え工程の効率化を両立させる新型の自動搬送システム「X-NR(プロジェクトコード)」を開発したと発表した。高収納型の物流ソリューションとして2026年に市場投入を予定しており、製造業の一次保管庫やEC物流センター、多品種小ロット対応が求められる医薬・化粧品業界などへの導入を見込む。
本製品は、イトーキの自動搬送システム「SAS」シリーズの最新コンセプトモデルであり、従来機「SAS-R」の特徴である順立て・荷合わせ・ピッキングといった高速処理性能を継承しつつ、上下昇降機構を加えた「三次元ピッキング」を実現。シャトル式自動倉庫の高速処理能力と、スタッカークレーン式自動倉庫の高い収納効率を兼ね備えた。
■物流再編の加速、求められる“拠点内機能”の強化
2024年のドライバー労働時間上限規制の施行により、輸送力不足や人手不足が物流業界全体で顕在化。政府が公表した「物流革新緊急パッケージ」では、2030年度には輸送力が最大34%不足するとの試算もあり、輸送に依存しない拠点内機能の強化や在庫分散といった構造転換が喫緊の課題となっている。
加えて、EC市場の拡大による多頻度・小口配送の加速が、物流拠点により柔軟な運用と高密度な保管性能を求める中、「X-NR」はこうした複合的なニーズに応える製品として開発された。
■水平×垂直の三次元搬送、新たな収納効率モデル
新開発の「X-NR」は、シャトル台車に上下昇降機構を搭載し、水平方向と垂直方向の三次元的なピッキングを実現。多様な形状の荷姿に対応しつつ、収納スペースを高密度化できる点が特長だ。ピッキングユニットも薄型化し、特に高さの低い荷物の格納効率を向上。既存の「SAS-R」と同様、コンテナや段ボール、折りたたみコンテナなど多様な荷姿に対応する。
さらに、保守性・安全性の面でも改良が加えられており、約2メートルごとに設置されたメンテナンスデッキによって各階層の点検作業が容易に。運用を止めることなく、部分的なメンテナンス対応が可能となっている。
<主な仕様>(予定)
• 対応荷物サイズ:W300×D450×H50mm~W500×D650×H600mm
• 重量対応:1~30kg(段ボール箱の場合は20kgまで)
• メンテナンスデッキ:2,000mmピッチで設置
• 販売開始:2026年(予定)
• 価格・導入プラン:仕様や保守契約に応じて個別提案
製品の詳細は2025年12月末より、専用Webページにて公開予定。
■オフィス家具から物流ソリューションまで広がるイトーキの展開
イトーキは1890年創業の老舗企業。「明日の『働く』を、デザインする。」を掲げ、オフィス家具や空間デザイン、働き方コンサルティングなど多様なソリューションを展開してきた。物流設備分野でも自動搬送システム「SAS」シリーズをはじめ、安全性や機能性に配慮した設備機器、情報セキュリティシステムなどを提供し、現場の課題解決に貢献している。
「X-NR」は、物流構造の転換期における新たな提案として、イトーキの“Tech × Design”の姿勢を体現する製品となる。
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