・欧州最大級のバッテリーリサイクル施設建設を主導する若手起業家に栄誉
DEUTZ(ドイツ):2025年7月2日
ケルン/アーヘン、独ドイツのエンジン大手DEUTZ(ドイツ)は7月1日、アーヘンで開催された技術会議「chiotec(旧#neuland)」にて、同社が主催する第7回「ニコラウス・アウグスト・オットー賞」を、バッテリーリサイクル企業cylib(ザイリブ)の共同創業者兼共同CEOであるDr.リリアン・シュヴィッヒ氏に授与した。
同賞は、革新性と起業家精神、将来を見据えた研究を称える目的で設けられており、DEUTZのセバスチャン・シュルテCEOが授賞式で表彰を行った。ドイツ連邦議会議長であるユリア・クレックナー氏も祝辞を述べた。
■バッテリー資源の完全循環を目指すcylibの挑戦
シュヴィッヒ氏が率いるcylibは、2022年にアーヘン工科大学(RWTH Aachen)からスピンオフして設立されたスタートアップで、リチウムイオン電池のすべての構成要素を効率的かつ持続可能にリサイクルできる独自技術を確立。創業からわずか2年足らずで欧州バッテリーリサイクル市場におけるリーディングカンパニーの地位を築き上げた。
DEUTZのシュルテCEOは授賞理由について、「Dr.シュヴィッヒ氏は、ドイツの知的・産業的競争力を体現している。卓越した学術的背景、画期的な技術、そしてそれを起業という形で社会実装する勇気と先見性が、次代を切り拓く」と称賛した。
■ドイツ・ドルマゲンにて欧州最大の再資源化施設を建設中
現在cylibは、ドイツ・ドルマゲンの化学工業団地「CHEMPARK」にて、使用済みリチウムイオン電池3万トン/年のリサイクル能力を持つ欧州最大規模の統合型再資源化施設を建設中で、2027年の稼働を予定している。主な顧客は自動車、バッテリー、化学業界となる見込みだ。
中核となる独自技術「OLiCプロセス」は水系で環境負荷が低く、90%以上の高効率回収を実現。従来の原材料採掘と比べ、最大80%のCO₂排出削減効果があるとされており、欧州における資源循環とサステナブル製造の新たな基準を打ち立てようとしている。
■賞の概要と過去の受賞者
同賞は、4ストロークエンジンの発明者でDEUTZ創業者のニコラウス・アウグスト・オットーの名を冠し、革新的な取り組みに対する賞金3万ユーロが授与される。これまでの受賞者には、コンチネンタル会長のヴォルフガング・ライツレ教授や、Linde元CEO、RWTHアーヘンの生産工学教授ギュンター・シュー教授、ボン大学農学部の起業学教授デニス・フィッシャー=クレーア教授などが名を連ねている。
※詳細はDEUTZ公式サイト内「ニコラウス・アウグスト・オットー賞」特設ページ(https://www.deutz.com/en/company/deutz-tradition/nicolaus-august-otto-award/)にて公開。
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