日立レール、台北MRT新路線向けに信号・監視制御システムを受注

・台湾・汐東線–基隆線プロジェクトに参画、都市交通の高度化に貢献

 日立製作所は7月3日、同社の鉄道システム事業を担う日立レールが、台湾・新北市で進められている大量高速輸送(MRT)プロジェクト「汐東線–基隆線」において、鉄道信号システム「SelTrac™ CBTC」および監視制御・データ収集システム「ALVEA™」の納入を受注したと発表した。発注元は、同プロジェクトの主契約者であるマレーシアの建設企業・ガムダ社(Gamuda)。新北市政府捷運工程局(NTCG DORTS)を事業主体とする交通インフラ整備計画の一環として進められる。

 同プロジェクトでは、汐止駅〜東湖駅を結ぶ「汐東線」と、南港駅〜八堵駅を結ぶ「基隆線」からなる新たな地下鉄路線が整備され、台北・基隆都市圏の交通ネットワークが大幅に強化される。総延長は約22kmで、16駅と14編成の車両、1カ所の車両基地が含まれる計画。日立レールはこのプロジェクトを通じて、同地域の都市交通の利便性と持続可能性の向上に貢献するとしている。

 導入される「SelTrac™ CBTC」は、列車とインフラの間で無線通信を行い、高度な制御・監視を可能とする都市型信号システム。プライベートクラウド基盤を活用し、遠隔での設備監視や予兆保全にも対応できるため、運行の安全性や信頼性、保守効率の大幅な向上が期待される。

 また、SCADAシステムには、エッジからクラウドへのシームレスなデータ連携を実現する「ALVEA™」を採用。鉄道事業者は統合ポータルや運行センターを通じてリアルタイムで設備情報や分析データにアクセス可能となり、柔軟かつ迅速な対応を支援する。

 今回の契約は、台北市におけるLRT(ライトレール)や三鶯線MRTなど、これまでの日立レールとNTCG DORTSの協力実績を土台に締結された。同社は、今後の路線拡張や将来的なニーズにも柔軟に対応し、都市交通の発展に引き続き貢献する方針だ。

 日立レール台北のChairman and CEO、シリル・バタイユ氏は「ガムダ社とのパートナーシップのもと、NTCG DORTSに高品質なソリューションを提供できることを誇りに思います」とコメント。ガムダ社の地域統括ディレクター、エリック・フーン氏も「日立レールは、台湾および周辺地域で重要なパートナーです」と述べた。

 日立レールは、グローバルで持続可能なモビリティを支える鉄道ソリューションの提供に力を入れており、同プロジェクトもその取り組みの一環となる。

■日立製作所について
 日立製作所は、IT・OT・製品を組み合わせた社会イノベーション事業を展開し、環境・幸福・経済成長の調和を目指す「ハーモナイズドソサエティ」の実現に取り組む。2024年度(2025年3月期)の売上収益は9兆7,833億円、連結子会社数は618社、従業員数は全世界で約28万人。コア技術であるLumadaを通じ、顧客と社会の課題解決を進めている。

▶ 日立レール公式サイト(英語):https://www.hitachirail.com
▶ 日立製作所公式サイト:https://www.hitachi.co.jp

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