米ムーグ、宇宙アクチュエーションとアビオニクス製造強化に向け本社施設を大幅拡張

 Moog(ムーグ):2025年6月30日

 イーストオーロラ(米ニューヨーク州)—-高精度なモーション制御および流体制御システムの大手サプライヤーであるムーグはこのほど、宇宙および防衛分野向けの電動アクチュエーション(EMA)製造能力を強化するため、本社で進めていた大規模施設拡張プロジェクトの一環として、新たな電動アクチュエーション製造施設の建設を完了した。

 同施設は、宇宙用打上げ機やミサイル、衛星、宇宙居住モジュールなどの制御・操舵に必要なアクチュエーションおよびアビオニクスシステムに対する市場の需要拡大に応えるもので、国家安全保障ミッションや有人宇宙飛行など重要案件への貢献を目指す。

 新施設では、電動、電気油圧静的(EHA)、電気油圧(EHP)アクチュエーションシステムの開発、製造、試験工程を一体化。製造プロセスの分断を最小限に抑えるレイアウトを採用し、品質と納期の両面で競争力を高めている。業界でも類を見ない統合型設計により、顧客対応力を大幅に向上させる。

 完成した施設には、EMAの組立・試験エリアのほか、熱・振動などの環境試験室、検査・オフィス機能も備えた。現在、生産用ハードウェアの検証と試験が進められており、今秋には初のフライト用EMAの出荷が予定されている。また、油圧アクチュエーションの組立・試験エリアと、最新鋭の開発ラボの建設も着工した。

 ムーグ社のオペレーション変革マネージャーであるジョナサン・キャスパー氏は「この新工場は、ムーグが持続可能な未来を見据えて行う大規模投資の象徴であり、宇宙・防衛分野の顧客に対して革新的かつミッションクリティカルなソリューションを提供する能力を大幅に拡張するものです」と述べた。

 また、宇宙アクチュエーションおよびアビオニクス部門のゼネラルマネージャーであるニコール・ウォドカ=クック氏は「生産能力と研究開発機能の向上により、ムーグは今後も進化する顧客ニーズに応え、高品質な製品を提供し続けます。この施設は、Moogが“世界の動きをかたちづくる”という理念を体現するものです」とコメントした。

 完成後は延床面積約11,000平方メートル(約12万平方フィート)に達し、ムーグの宇宙関連事業に特化した最大の製造拠点となる。ムーグの技術は、毎週の宇宙打ち上げに貢献しており、これまでに太陽系の全惑星探査にも活用されてきた。

■Moog Inc.(ムーグ社)について

 ムーグは、航空機、宇宙機、ミサイル、防衛システム、産業用機械、医療機器など多様な分野向けに高性能モーション制御・流体制御技術を提供するグローバル企業。詳細は www.moog.com を参照。

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