東洋エンジ、グリーンメタノール製造向け小型反応器「MRF-Z Neo™」を開発

・分散型プラントに対応、低コストで社会実装を加速

 東洋エンジニアリング(TOYO)は7月2日、脱炭素社会の実現に貢献する次世代の小型メタノール反応器「MRF-Z Neo™」を開発したと発表した。グリーンメタノールの製造に特化した本製品は、地域に分散するバイオマスや再生可能エネルギーを原料とする小規模プラント向けに設計されており、コンパクトかつ低コストでの導入が可能。

■グリーンメタノール需要、2050年に5倍へ
 近年、カーボンニュートラル実現に向けた動きが加速する中、従来の化石燃料由来メタノールに代わるグリーンメタノール(バイオメタノールやe-メタノール)が注目を集めている。メタノールは船舶燃料やジェット燃料、化学品原料など幅広い用途を持つ汎用化学品であり、環境負荷の少ない製造手法への移行が求められている。

 TOYOによれば、2050年にはメタノールの世界需要は2020年比で約5倍に拡大し、その約8割をグリーンメタノールが占めると予測されている。とりわけ欧州では、海運や化学産業における導入が進展しており、今後の急成長が見込まれている。

■小規模・分散型プラントへの最適解
 グリーンメタノールの製造では、バイオマスや再エネといった原料の供給が地理的・時間的に分散しており、大規模プラントでは対応が困難。そのため、100MW未満の発電設備が97%以上を占める再生可能エネルギー事情に合わせ、小規模・分散型プラントに適応できる反応器のニーズが高まっていた。

■高効率かつ低コストを両立した「MRF-Z Neo™」
 新製品「MRF-Z Neo™」は、TOYOが大規模プラント向けに展開してきた実績ある「MRF-Z™」技術をベースに、小規模用途向けに最適化したもの。段階冷却構造による高効率な反応や、半径方向へのガス流路による低圧損・高効率化といった特長を継承しつつ、下部のメンテナンス空間や上部のガス分散部を省略することで装置全体のコンパクト化と製作コスト削減を実現した。

 また、冷却管の片側固定構造などの設計的工夫により、長期安定運転やメンテナンス性も向上。小型・低コストでありながら、従来の大型反応器と同等の信頼性と性能を備えている。

〈用語解説〉
*¹ バイオメタノール:バイオマス由来の原料を使用したメタノール
*² e-メタノール:再生可能エネルギーから得た水素とCO₂から合成されるメタノール。

 詳細は、ニュースリリース