日精樹脂工業が6月30日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は前期比0.9%増の474億9千3百万円、営業利益は4億4千2百万円(前期比37.3%減)、経常利益は3億4千3百万円(同6.9%増)となった。このほか、NEGRI BOSSI S.P.A.の特別退職金として5億1千6百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、7千6百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純損失は5億2百万円)となった。
2024年度における世界情勢は、ロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクの高まりから資源エネルギー価格および原材料価格の高騰および中国経済の減速に加え、期中後半より米国新政権発足に伴う大規模な関税の引き上げ方針を巡る世界経済の悪化懸念の高まりから先行きは不透明な状態で推移した。
同社グループが属する射出成形機業界では、急激な円安による原材料価格の高騰および世界における設備投資需要の回復の遅れから厳しい経営環境となった。
このような状況のもと、同社グループは長期的な視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期(第70期)を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて推進すると同時に2023年3月期(第67期)を初年度とする第四次中期経営計画に基づいた事業を展開した。
■セグメントの状況
日本 :円安が進行し、それに伴う物価上昇や原材料費の高騰がコスト負担を増大させ、企業が設備投資に慎重な姿勢だったこと等から売上高(外部顧客への売上高)157億8千5百万円(前期比4.3%減)となったが、セグメント利益は3億8千2百万円(前年同期実績は、セグメント損失2千7百万円)となった。
欧米地域:インフレ率の高止まりから需要が低調であったこと等から売上高(外部顧客への売上高)186億4千3百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント損失は1億8千8百万円(前年同期実績は、セグメント利益2億8百万円)となった。
アジア地域:中国を中心に自動車関連向けで需要があったこと等から売上高(外部顧客への売上高)130億6千4百万円(前年同期比19.4%増)となったが、セグメント利益は3億8千1百万円(同33.0%減)となった。
■製品別売上高
主力である射出成形機の売上高は345億6千3百万円(前期比1.6%増)となった。このほか、周辺機器の売上高は22億6百万円(同8.6%減)、部品の売上高は91億7千3百万円(同7.0%増)、金型等の売上高は、15億4千9百万円(同25.4%減)となった。
■次期の見通し
次期の経営目標は「当社グループとお客様をDXで繋ぐ基盤となるプラットフォームを創出する」としてグループ力と収益力の強化を図っていく。
営業面では、顧客の課題解決型企業としてプラスチック総合展とプライベート展の棲み分けを進め、総合展からプライベート展を通じて、顧客毎に寄り添ったソリューションビジネスモデルを提案し、満足を提供する。具体的には、プラスチック総合展を「お客様とのコミュニケーションの場」として捉えてプライベート展を「プロモーションの場」として技術提案、新規・ロストユーザーの掘り起こしと受注獲得に繋げていく。
商品開発としては、革新的な商品戦略として顧客が儲かる新商品を提案していく。具体的には、ハイブリッド式射出成形機と低圧成形システムN-SAPLIの組み合わせによる低圧成形・ダウンサイジングによる顧客の成形現場の省スペース化、作業環境の改善を提案する。
生産体制の強化としては、グローバルサプライチェーンの強化により、品質、コスト、納期対応の向上および為替リスクの低減を図っていく。また世界的な部材価格、運搬費、人件費の高騰に対して、国内外において内製化によるコストダウンを図るとともに、生産拠点毎に最適地調達を推進して部材調達難に対応していく。
このような環境の中、2026年3月期(第70期)の連結業績見通しについては、売上高44,200百万円(前期比6.9%減)、営業利益1,000百万円(同126.2%増)、経常利益900百万円(同162.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益550百万円(同619.4%増)を予想している。
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