大同特殊鋼、高合金製品の増産に向け36億円を投資

・星崎・知多に設備増強、生産体制を再編し成長市場に対応

 大同特殊鋼(名古屋市東区)は6月30日、高合金製品の需要拡大に対応するため、名古屋地区での生産体制を強化する36億円規模の設備投資を実施すると発表した。星崎工場(名古屋市南区)の棒鋼圧延ラインを増強するほか、知多第2工場(愛知県知多市)に高合金棒鋼の新たな検査ラインを新設する。稼働開始は2027年3月を予定している。

 今回の投資により、同社は圧延可能な鋼種およびサイズのレンジを拡大し、より高品質な製品の製造を可能とする。これまで高合金の大部分は群馬県の渋川工場で自由鍛造プロセスを用いて生産してきたが、今後はその一部を名古屋地区の圧延工場に移管。これにより渋川工場の余力を活用しつつ、成長が見込まれる高合金市場への供給体制を整備する。

 高合金は、ニッケルやクロムを高比率で含む特殊鋼で、耐熱性・耐腐食性に優れ、航空機エンジンのタービンや化石燃料掘削装置など、過酷な環境下での使用が求められる分野に欠かせない。同社は今後、航空旅客需要やエネルギー需要の拡大に伴い、高合金の需要がさらに高まると見込んでいる。

 今回の設備投資は、2026年度までの中期経営計画で掲げた「成長市場製品の拡販」と「事業ポートフォリオの変革」の方針に基づくもの。同計画では、知多工場での一貫製造プロセスの効率化、渋川工場での高合金製造能力強化、そして星崎・知多第2工場での高機能素材の製造能力拡充が具体的施策として示されており、今回の投資もこの戦略の一環となる。

 同社は今後も、技術革新を支える高機能素材を最適な生産体制で提供し、社会と自社の持続的成長に貢献していく方針。

<設備投資の概要>
投資内容:星崎工場の棒鋼圧延ライン増強、知多第2工場への高合金棒鋼検査ライン新設
総投資額:約36億円
完成・稼働予定:2027年3月末
目的:高合金製品の生産能力・品質向上、生産アロケーションの最適化、成長市場への対応

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