独ユングハインリッヒ、ロシア子会社売却で最終交渉段階に

・フォークリフト大手、ロシア事業からの完全撤退へ

 Jungheinrich(ユングハインリッヒ):2025年6月26日

 ドイツの物流機器大手ユングハインリッヒAGは6月26日、ロシア子会社「ユングハインリッヒ・リフトトラック OOO」の全株式売却について、3つのロシア系金融投資家との間で最終段階に近い交渉を開始すると発表した。同社取締役会が同日、監査役会の承認を得て決定したもので、売却が実現すればロシア国内での事業活動を完全に終了することになる。

■政府規制により大幅な減額売却
 売却交渉において特筆すべきは、ロシア政府の外国投資管理委員会の規制により、売却価格が大幅に制限されている点。同委員会の承認を得るためには、ロシアの評価専門家が算定した対象企業の市場価値の最大40%でしか売却できないとの規定があり、現在交渉中の価格は2024年12月31日時点の帳簿価額を大幅に下回る水準となっている。

 この規制は、ロシアが外国企業の撤退に対して課している制約の一例で、実質的に「割安売却」を強制する仕組みとなっている。ユングハインリッヒにとっては大きな損失を伴う撤退となる見込み。

■数週間内の合意を目指す
 同社は交渉が計画通り進展すれば、今後数週間以内に拘束力のある株式譲渡契約の締結を見込んでいると説明している。ただし、契約の署名と完了には、ロシア政府委員会の承認をはじめとする標準的な市場条件の充足が前提となる。

 ユングハインリッヒのロシア事業撤退は、ウクライナ侵攻以降に相次ぐ欧州企業のロシア離脱の流れに沿ったものだ。物流・産業機械分野でも、政治的リスクと経済制裁の影響を受けて事業継続が困難になったケースが増加している。

 今回の売却により、同社のロシア市場での長年にわたる事業展開に終止符が打たれることになる。

 ニュースリリース