・冷延と溶融亜鉛めっきコイルの兼用ラインに対応、2027年度初頭の稼働目指す
英ロンドンに本拠を置くプライメタルズテクノロジーズは6月26日、東京製鐵の岡山工場における溶融亜鉛めっきラインの改造工事を、中外炉工業および日立製作所と共同で受注したと発表した。今回のプロジェクトでは、既設の焼鈍設備を最大限活用しつつ、冷延鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板の生産が可能な兼用ラインへと刷新される。新ラインの稼働開始は2027年度初頭を予定している。
具体的には、既存ラインの前半に誘導加熱(IH)を導入して昇温能力を高める一方、後半では冷却能力を強化する。これにより、製造可能な鋼種の幅を広げ、多様化する市場ニーズに柔軟に対応できる設備体制を構築する。
プライメタルズはターミナル設備やスキンパスミルなどの改造に関するエンジニアリングおよび機器供給を担当する。焼鈍炉設備の改造は、中外炉工業と日立製作所がプライメタルズを通じて提供し、3社はそれぞれ技術員を派遣して現地の据付工事および試運転も支援する。
発注元である東京製鐵は、日本有数の電炉専業メーカーであり、国内最大級のH形鋼生産量を誇る。近年はCO₂排出削減に貢献する「ほぼゼロ」ブランドの低炭素鋼材を展開し、環境対応型の再開発プロジェクトなどで採用が進む。
プライメタルズは連続焼鈍・めっきライン(CAGL)をはじめ、上流プロセスと連携した複合的な製造ソリューションを提案できることが強み。鋼種、板厚、めっき仕様、品質要求など多様なニーズに対応し、生産性とコストの最適化を支援している。
なお、プライメタルズは三菱重工グループ100%出資のグループ会社で、世界約7,000人の従業員を擁し、鉄鋼から非鉄分野まで幅広い分野でエンジニアリングとライフサイクルサービスを提供している。