コマツ、災害時の建機位置情報を国交省に提供開始、迅速な復旧作業を支援

 コマツは6月27日、大規模災害発生時に自社の建機管理システム「Komtrax」から取得した建機の位置情報を、国土交通省に提供する新たな取り組みを開始すると発表した。災害現場周辺にある建機の正確な位置把握により、被災地の早期復旧と被害拡大防止を図る。

■建機メーカーとしては初の試み
 この取り組みは、一般社団法人日本建設機械施工協会(JCMA)を通じて実施される。従来、国土交通省は災害協定に基づき、建設会社やレンタル会社から出動可能な建機の情報を収集していたが、建機メーカーが自社システムを活用して位置情報を提供するのは初めてとなる。

 対象となるのは、被災地を中心とする約100キロメートル四方のエリアに位置し、所有者である建設会社が参加に同意した建機。コマツは建機の緯度・経度、機種・型式、標準バケット容量、データ取得日時などの詳細情報を24時間ごとに更新し、災害発生から7日間にわたって無償で提供する。

■25万台超のネットワークを活用
 Komtraxは、コマツが2001年から標準装備化を進めてきた建設機械の遠隔監視システムで、現在国内で約25万2千台の車両が稼働している。このビッグデータを災害対応に活用することで、従来よりも迅速かつ効率的な復旧作業が期待される。

 今回の制度により、国土交通省は災害現場の状況に応じて最適な建機を特定し、効果的な配置を行うことが可能になる。特に大規模災害では初動の迅速性が復旧の鍵を握るため、リアルタイムの位置情報提供は極めて重要な意味を持つ。

■官民連携で災害対応力を強化
 この取り組みは、民間企業が持つデジタル技術と豊富なデータを災害対応に活用する官民連携の新しい形といえる。コマツの今吉琢也社長は、同社の技術とデータが災害時の社会インフラ復旧に貢献できることを強調している。

 なお、提供期間については災害規模や被害状況に応じて短縮または延長される場合がある。国土交通省も同日付でプレスリリースを発表し、この新制度への期待を表明している。

 建設業界では近年、IoTやAI技術の活用が進んでいるが、今回の取り組みは災害対応分野での技術活用の先進事例として注目される。他のメーカーでも同様の取り組みが広がれば、日本の災害対応力のさらなる向上が期待できそうだ。

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