シスメックス、ブラジル工場を移転・拡張、中南米での安定供給体制を強化

 シスメックス(神戸市中央区)は6月26日、中南米における事業拡大と長期的な製品供給体制の強化を目的として、ブラジル・パラナ州の診断薬生産工場を同州内で移転・拡張すると発表した。新工場は同社の海外生産拠点として最大規模の敷地面積を持ち、中南米市場における持続的な成長を支える生産・供給体制を構築する。

 新たな生産拠点は、パラナ州サン・ジョゼ・ドス・ピニャイス市に建設され、敷地面積は約52,300平方メートル。2027年度内の稼働開始を予定しており、診断薬の生産機能に加え、物流や技術サービス機能も集約する。これにより、現在分散している複数の機能を統合し、効率的なオペレーションを実現するとともに、供給体制の強靭化を図る。また、米国工場における緊急事態発生時には代替拠点として迅速に対応できるよう、BCP(事業継続計画)機能も強化する。

 シスメックスは2000年にブラジル現地法人を設立し、以来、中南米市場向けに現地生産による診断薬供給を続けてきた。近年の需要拡大を受け、生産能力の増強が課題となっていた。

 ブラジルは中南米最大の人口と経済規模を誇り、経済成長とともに医療需要が急速に拡大している。医療インフラや技術革新の進展も著しく、診断・検査分野では今後も高い成長が期待される。一方で、1人当たりの国民医療費は日本の6分の1程度にとどまっており、ヘルスケア市場としての潜在力は大きい。

 同社は今後も、「ヘルスケアの進化をデザインする」という企業理念のもと、革新性と信頼性を兼ね備えた診断ソリューションを提供し、地域医療の発展と持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

<新拠点の概要>
所在地:ブラジル パラナ州 サン・ジョゼ・ドス・ピニャイス市
敷地面積:52,300㎡
主要機能:診断薬の生産、物流、技術サービス
稼働予定:2027年度内
生産品目:診断薬

■シスメックス株式会社
 1968年創業。血液や尿などを調べる検体検査分野を中心に、世界190以上の国・地域でヘルスケアソリューションを展開。独自技術やグローバルパートナーとの連携を通じて、より良い「ヘルスケアジャーニー」の実現を目指している。

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