インドの建設機械、2024年度は3%成長、輸出が10%増とけん引

 ICEMA(Indian Construction Equipment Manufacturers’ Association:インド建設機械製造業者協会 ):2025年6月17日、ニューデリー/ムンバイ

 インド建設機械製造業者協会(ICEMA)は5月28日、インドの建設機械業界が2024年度(※インドではFY25)に前年比3%の成長を達成したと発表した。年間販売台数は14万191台(前年度13万5,650台)となり、堅調な輸出拡大(10%増)が全体の成長を下支えした。国内市場の伸びは2.7%と鈍化したが、インドは世界第3位の建設機械市場としての地位を維持している。

 ICEMA会長でキャタピラー・インディア社長のV・ヴィヴェーカナンド氏は、「選挙期間中の不透明感など逆風の中でも3%の成長を確保できた。輸出が10%も増加したことは、インド製建設機械の国際競争力の高さを示している」と述べた。

■主要実績(FY25):
・総販売台数:14万191台(前年比3.3%増)
・国内販売:12万6,961台(同2.7%増)
・輸出台数:1万3,230台(同10%増)
・国内生産比率:国内販売の98%をインド国内で製造

■セグメント別販売動向
 市場の7割以上を占めるアースムービング(土工)機械が引き続き主力となり、9万9,159台(6%増)を販売。中でもバックホーローダーが5万3,133台(土工セグメントの54%)と最多で、クローラー式油圧ショベルが3万5,816台(土工セグメントの36%)と続いた。そのほか、マテリアルハンドリング機械が1万7,050台、コンクリート機械が1万4,473台(3%増)、道路建設機械が7,002台、資材処理機械が2,507台となった。

*グラフは、インドの建機全体数量。

 ■国内市場の課題
 国内市場は全体として横ばいに近い状態で、非OEM向け輸出を除いた純国内販売は2%の増加にとどまった。一方で、非OEM輸出は19%増と大きく伸長しており、内需の実態はより厳しかったとみられる。

 JCBインディア社長兼ICEMA次期会長のディーパック・シェッティ氏は、「選挙、原材料費の高騰、新たな排ガス基準の導入といった要因が成長の足かせとなった。輸出の伸びが一定の支えとなったが、今後は道路・高速道路以外のインフラ分野にも成長ドライバーを広げる必要がある」と述べた。

■業界の強みと展望
 テレックス・インディアのジェイディープ・シェーカー氏(ICEMA業界分析委員会コンビーナー)は、「98%を国内生産で賄いながら輸出も伸ばすことができたのは、インドの建機産業の成熟度と競争力の証」と評価。ICEMAのシーマ・グプタ事務局長も、「選挙や排ガス規制などの影響で内需は抑制されたが、産業全体としての回復力は高く、今後の成長基盤は整っている」と述べた。

■政策支援の必要性
 将来的な需要拡大を見込む中で、業界側は「政策支援や資金調達環境の改善、サプライチェーンの課題解消が不可欠」と強調している。国内製造基盤と輸出力を活かすためにも、政府との連携を深め、持続可能な成長モデルの構築が求められる。

■ICEMAについて
 ICEMA(インド建設機械製造業者協会)は、インドの主要建設機械メーカーを代表する業界団体で、国内販売の95%以上を占める。政策提言、業界研究、国際連携を通じ、建設機械産業の発展を目指している。業界売上高は日本式2023年度で95億ドル(約1兆3,800億円、145円換算)。

 ニュースリリース
 ※インドの2025年度は、日本の2024年度のこと。