コマツ、パキスタン大型銅・金鉱山プロジェクトで4.4億ドルの大型受注

・バリック社との戦略的パートナーシップでアジア進出を加速

 コマツは6月25日、カナダの大手鉱山会社バリック・マイニング・コーポレーション(Barrick Mining Corporation)との間で、パキスタンにおける大規模な銅・金鉱山開発プロジェクト向けに鉱山機械を供給する契約を締結したと発表した。契約総額は4億4,000万ドル(約638億円、145円換算)に上り、コマツにとって中近東地域初の大規模鉱山機械受注となる。

■世界最大級のグリーンフィールドプロジェクト
 今回の契約対象となる「レコディク銅・金鉱開発プロジェクト」は、バリック社がパキスタン政府およびバロチスタン州政府と共同で進める大型開発案件。世界最大級の銅・金鉱山になることが期待されており、パキスタンの経済発展に大きく貢献することが見込まれている。
 コマツの販売開始は2026年度からとなる予定で、同社の海外展開戦略において重要なマイルストーンとなりそうだ。

■最新鋭の大型機械を投入
 提供される機械は、いずれもコマツの最新鋭かつ最大級のモデルとなる:
・超大型ダンプトラック 980E-5 (積載質量362トン超の巨大トラック/定格出力3,500馬力の強力なエンジンを搭載)

・電動ロープショベル P&H 4100XPC AC(機械質量1,532トンの大型掘削機/バケット容量は42-49立方メートル)

・超大型油圧ショベル PC7000-11(機械質量676-694トンのパワフルなショベル/2基のエンジンで合計3,350馬力を発揮)

・超大型ホイールローダー WE2350-2(機械質量266トン、出力2,300馬力/バケット容量40立方メートル超)

 これらの機械は、米国のイリノイ州、ウィスコンシン州、テキサス州の各工場、およびドイツの製造拠点から輸出される。

■現地サポート体制も強化
 今回の大型受注に伴い、コマツは現地でのサービス・サポート体制も大幅に強化する。パキスタンに新会社「KOMATSU PAKISTAN MINING (SMC-PRIVATE) LIMITED」を設立し、効率的な鉱山運営を全面的にバックアップする。
 また、UAE・ドバイにある中近東地域統括会社のコマツ中近東でも、部品供給体制の強化に向けた投資を実施する予定。

■長期的パートナーシップの成果
 コマツとバリック社の協力関係は今回が初めてではない。両社はザンビアのルムワナ銅鉱山や米国ネバダ金鉱山でも共同プロジェクトを展開しており、2023年10月にはグローバルな枠組み契約も締結している。
 バリック社のマーク・ブリストウ社長兼CEOは「レコディクプロジェクトは当社のパキスタンでの長期投資の象徴であり、コマツとのパートナーシップは不可欠。世界各地でコマツ製品の性能と信頼性は実証されており、今回の挑戦もサポートしてくれると確信している」とコメントした。
 一方、コマツのピーター・サルディット常務執行役員(マイニング事業本部長兼コマツマイニングテクノロジーズCEO)は「バリック社は重要なグローバルパートナー。この大規模で複雑なプロジェクトには実績ある高性能機械が必要で、当社製品は十分対応できる。マイニングの生産性向上イノベーションを共に推進していく」と意気込みを語った。

■アジア市場での存在感拡大へ
 今回の大型受注は、コマツのアジア・中近東市場での存在感拡大に向けた重要な一歩となる。世界的な脱炭素化の流れで銅需要の拡大が見込まれる中、大型鉱山プロジェクトへの参画により、同社の海外事業のさらなる成長が期待される。

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