英JCBの水素エンジン、王女視察、ロイヤル・ハイランド・ショーで初展示、約1億ポンド投じ開発

 JCB:2025年6月23日

 JCBが開発を進める水素エンジンが6月、英国最大級の農業見本市「ロイヤル・ハイランド・ショー」で初めて農業イベントに展示され、英王室のプリンセス・ロイヤル(アン王女)が視察に訪れた。

 この水素燃焼エンジンは、ディーゼルと同等の出力・性能・効率を実現しながら排出ゼロを達成する革新技術。JCBの主任技術者トム・ビーミッシュ氏と技術者キャメロン・スコット氏が説明役を務め、王女は水素技術の可能性に強い関心を示した。特に農業分野への応用に関心を寄せ、数分にわたり開発の詳細を尋ねたという。

 同エンジンは、ショーの目玉展示「プレジデンシャル・ソリューションズ・ハブ」に出展され、ネットゼロ目標の達成に資する先進技術として注目を集めた。前日にはスコットランドのジョン・スウィニー首相も視察に訪れている。

 JCBは約4年前から1億ポンド(約198億円)を投じて水素エンジン開発に着手。150人規模の技術陣が開発を担い、これまでに150基以上の試作機が製造されて実機評価が進む。既に複数の建設機レンタル会社が現場での実用試験を実施しており、好結果が報告されている。

 今年1月には、JCBの水素エンジンが英当局から商用使用の認可を取得。これを受けて4月には、水素燃料の建設機・農業機械の公道走行を認める法律改正が実現した。さらに5月には、EU加盟27カ国でも同エンジンが型式認証を取得。英国とEU双方で、非道路型モバイル機械への搭載と販売が可能になった。

 ロイヤル・ハイランド農業協会(RHASS)のジョージ・リオン会長は「今年のプレジデンシーでは、農業者がネットゼロに向けて活用できる革新的な技術の紹介に注力してきた。JCBの水素エンジンは、従来の内燃機関の操作性を維持しながらグリーン燃料に転換できる、貴重な技術だ」と語った。

 JCBは今後、農業・建設分野での実装に向けて量産化を進め、水素エンジンを中核としたゼロエミッション機械の普及を目指す方針。

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