・北海道で新型ロケット「ZERO」支援
日揮ホールディングスは6月24日、グループの国内EPC(設計・調達・建設)事業を担う日揮が、民間ロケット開発を手がけるスタートアップのインターステラテクノロジズ(IST)から、北海道・大樹町におけるロケット試験・燃料設備などの新設プロジェクトを受注したと発表した。
この案件は、ISTが開発中の液化バイオメタンを燃料とする最大ペイロード1,000kg級の新型ロケット「ZERO」の打ち上げに向けた設備整備に位置付けられる。打ち上げ拠点は、大樹町が整備を進める商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の発射場「Launch Complex 1(LC1)」で、ISTが同施設の優先事業者に選定されたことを受け、日揮が基盤設備の構築を担う。
今回日揮が手がけるのは、液化窒素空調設備、液化メタン処理・貯蔵設備、液化酸素貯蔵設備、貯水槽や防消火設備、電源・通信インフラなど、多岐にわたるロケット打ち上げに不可欠なインフラ。日揮は長年培ってきたプラント建設とバイオメタン分野での技術力と実績が評価され、ISTからの受注につながったと見られる。
日揮グループは宇宙関連分野への取り組みも加速しており、海外EPC事業会社である日揮グローバルは2020年に月面燃料プラント構想の検討組織を立ち上げ、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との連携協定の下、月面での水素推薬生成プラントに関する研究を進めてきた。2023年以降は、地上および月面でのパイロットプラント構想や要素試験にも参画し、2025年にはJAXAによる有人与圧ローバー開発支援事業にも採択されている。
ISTは2013年設立の宇宙スタートアップで、「誰もが宇宙に手が届く未来」を掲げ、ロケットや人工衛星の開発・運用を展開。液化バイオメタンを燃料とした世界初の民間ロケットの開発、日本初の民間企業単独による宇宙到達などを成し遂げており、国内の民間宇宙輸送の最前線を走る企業の一つである。
日揮グループは本プロジェクトを通じて、地上から宇宙までをつなぐインフラ構築に貢献し、人類の宇宙における持続的活動の実現を目指すとしている。
<プロジェクトの詳細>
契約先:インターステラテクノロジズ株式会社
建設場所:北海道広尾郡大樹町
役務内容:ロケット試験・燃料設備(液化窒素空調設備、液化メタン処理設備、液化メタン貯蔵設備、液化酸素貯蔵設備、貯水槽・防消火設備、電源・通信設備など)に係る設計、機材調達および建設工事(EPC)役務
受注金額:非公開