大成建設、トンネル工事の電力・CO₂を大幅削減、掘削進捗に応じ工事設備を自動制御

 大成建設は6月23日、山岳トンネル工事において、掘削作業の進捗状況に応じて坑内設備を自動制御する新機能を施工支援プラットフォーム「T-iDigital Field」に追加したと発表した。換気装置やベルトコンベアなど複数の工事設備の運転を最適化することで、電力消費量とCO₂排出量の大幅な削減に成功したという。

 同社が開発したこの新機能では、掘削サイクルの進捗に応じて粉塵の発生量を予測し、坑内の送風機や集塵機などの換気設備を自動制御。さらに掘削土砂の搬出に用いるベルトコンベアなどとも連携し、設備の稼働が集中することによる電力使用量の急増を抑制する。これにより、工事現場全体の電力消費量を適切に管理し、契約電力量の超過防止にも寄与する。

 この新機能を導入した山岳トンネル工事では、換気設備の電力消費量を従来比で約48%削減。CO₂排出量では月間約17トンの削減効果が確認されたという。

 山岳トンネル工事は掘削サイクルごとに作業内容が大きく変わり、それに伴い設備の稼働状況や粉塵量も変化する。従来は手動や個別管理によって対応していたが、新機能により、施工機械と設備を一体的に制御することで、省エネルギーかつ持続可能な施工が可能となった。

 大成建設は今後、T-iDigital Fieldに搭載された施工支援アプリケーションと連携し、現場で収集・蓄積されたデータをもとに更なる最適化を進める方針。作業効率の向上と生産性の改善を図るとともに、建設現場の脱炭素化にも貢献していくとしている。

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