・鉱山用大型ダンプ向けにエタノール・ディーゼル併用システムを推進
Cummins(カミンズ):2025年6月13日
インディアナ州セイモア 6月13日、米カミンズ(NYSE: CMI)は6月13日、鉱山用大型ダンプトラック向けのエタノール・ディーゼル併用エンジン開発計画において、エタノール燃料を用いた最新の試験設備を稼働させたと発表した。ブラジルの鉄鉱石大手ヴァーレ、建機メーカーのコマツと共同で進めるこの計画は、鉱業界の脱炭素化を目指す重要なステップとなる。
この計画は2024年7月に発表されたもので、コマツ製の鉱山用ダンプトラックの既存ディーゼルエンジンを改造し、エタノールを最大70%混合して使用できるようにする。改造後の230~290トン級の大型ダンプは、温室効果ガス排出量を最大70%削減する可能性がある。
カミンズのイノベーションプログラムリーダーであるルーク・モージャー氏は、「エタノール・メタノールとディーゼルの併用システムは鉱業界にとって大きなメリットがあり、二酸化炭素や窒素酸化物、微粒子の排出を削減しつつ、生産性と性能を維持できる」と説明する。
試験設備の稼働を受け、カミンズのQSK60エンジンの評価試験は2026年まで実施され、その後コマツの施設での実地試験へ移行する見通しだ。
■鉱業の脱炭素化を目指す三社の協力
カミンズの産業市場担当副社長、グビレ・アデウミ氏は「当社はエネルギー移行を支える持続可能なソリューションの実現に尽力している。今回のエタノール併用技術の開発は、脱炭素化を進めながら確かな性能を提供する姿勢の表れだ」と語った。
ヴァーレの最高執行責任者(COO)であるカルロス・メデイロス氏は、「ヴァーレは2030年までに温室効果ガス排出量を33%削減する目標を掲げている。鉱山車両の中でもダンプトラックはディーゼル消費量が大きく、排出量削減に向けた取り組みが不可欠だ。ブラジルではエタノールの供給網が整備されており、代替燃料として有効な選択肢となる」と強調した。
コマツの地表運搬部門の上級副社長、ダン・ファンキャノン氏は「今回のエタノール・ディーゼル併用プロジェクトは、ヴァーレの短期的な脱炭素目標を支える橋渡し技術として重要な役割を果たす」と述べ、「専用試験設備の稼働開始は低炭素技術を進化させる上での大きな節目だ」との認識を示した。
■カミンズ(Cummins Inc.) について
カミンズは、エンジン、コンポーネント、パワーシステムなどの事業を展開する世界的なパワーテクノロジー企業。持続可能なエネルギー移行に向けた「Destination Zero」戦略を推進し、ディーゼル、天然ガス、電動・ハイブリッドシステムなどの多様な製品を提供している。本社は米インディアナ州コロンバス。2024年の売上は341億ドル。
■ヴァーレ(Vale) について
ヴァーレは世界最大級の鉄鉱石・ニッケル生産企業で、銅の主要生産者でもあるブラジルの総合資源企業。約2,000キロメートルの鉄道網と複数の港湾施設を保有し、持続可能な鉱業の推進に注力している。
■コマツ(Komatsu) について
コマツは建設・鉱業機械をはじめとする多様な技術とサービスを提供するグローバル企業。100年以上の歴史を持ち、持続可能な社会の実現を支援する製品開発を進めている。
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