日立建機は6月12日、同社と九州電力、日本赤十字看護大学附属災害救護研究所が、2025年5月8日、熊本赤十字病院(熊本市)において、可搬式充電設備を活用した災害時の電力供給に関する実証試験を実施したと発表した。実験では、災害時の救護活動を想定し、特殊医療救護車両「ディザスター・レスキュー」内の照明や医療機器へ安定的に電力が供給されることを確認。機器は約7日間連続で作動し、初動対応に十分な電力供給能力を備えることが示された。
日立建機と九州電力が共同開発したこの可搬式充電設備は、電動建機などへの電力供給を主目的に2024年9月から販売されている。平常時にはEV(電気自動車)の充電、災害時には非常用電源として活用可能な「フェーズフリー」の設計が特長で、幅広い用途が見込まれている。
可搬式電源の災害活用は、東日本大震災以降、熊本赤十字病院と九州電力総合研究所が中心となって検証が進められてきた。今回の実証試験では、同設備1台で一定規模の医療支援が可能であることが実証され、必要に応じて複数台を組み合わせて対応する構想も示された。
今後、三者はそれぞれの強みを生かし、実用的な災害ソリューションの構築を進める。日立建機は販売・サービス網や自治体との連携体制、九州電力はエネルギーマネジメント技術、日赤災害救護研究所は災害支援の専門知識を持ち寄り、支援活動の実効性を高める。
なお、同充電設備は7月2日から東京ビッグサイトで開催される「自治体・公共Week2025」の「地域防災EXPO」(南1・2ホール、ブース番号10-24)に出展される予定。
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