三一集団、新たな品質生産性を指針に低炭素化を加速、スマート製造と再エネで持続可能な成長へ

 三一(SANY):2025年6月5日

 第54回世界環境デーにあたり、中国の建設機械大手・三一集団は、低炭素社会の実現に向けた取り組みを公表した。グローバル化・デジタル化・低炭素化を軸とした経営戦略のもと、スマート製造とグリーンエネルギーによる新たな生産力を推進し、中国の「カーボンピーク・カーボンニュートラル」目標および世界の気候行動に貢献する構えだ。

■製造現場でエネルギー効率を改善
 三一集団は、低炭素運営を生産体制に深く組み込み、傘下企業ごとに排出削減目標を設定。三一重工は2022年比で2030年までに生産エネルギー消費を22.5%削減する計画を掲げ、三一重能は2020年比で運営時の炭素排出を25%削減する方針。三一国際は温室効果ガスの排出密度を25%、エネルギー消費密度を20%削減する目標を明示した。
 
 達成に向け、太陽光発電やスマートファクトリー化を推進。三一重工では、設備の待機監視データをもとに稼働ルールを最適化し、2024年に年間208万kWhの電力を削減。塗装工程では、乾燥時間を短縮する新工法を導入し、年間46万kWhの電力と約3.8万立方メートルの天然ガスを節約した。

 三一重能は「ゼロカーボン園区」の構築を進め、南口工場では屋根設置型の太陽光発電設備で年間2,460MWhを発電。残る電力もすべて再生可能エネルギー由来の電力を調達し、使用電力の100%をグリーン化した。韶山のブレード製造工場では6.6MWのマイクログリッド型太陽光システムを導入し、余剰電力を売電する仕組みも構築した。

■製品電動化と技術革新を加速
 2024年には、電動化・知能化・省エネを追求した低炭素製品を相次いで投入。風力・太陽光・蓄電・水素といった次世代エネルギー分野の「第二の成長曲線」を形成し、事業ポートフォリオの多角化を進めた。

 三一重工は40機種の電動建機を発売し、年間6,200台を販売。電動ショベル、ミキサー車、ポンプ車、クレーン車など主力製品で市場をリードした。中型油圧ショベル「SY215E」は、デュアルトランスミッションや回生技術、熱管理の統合制御などを採用し、従来比で消費電力を約10%削減した。

 鉱山機械分野では、三一国際が電動ドリル、採鉱機、自動運転対応の無人トラックなどを展開。スマートショベルは累計300台が国内213鉱山に導入され、採掘効率は最大30%向上した。三一重装が開発したハイブリッド鉱山車は、燃費を20%以上改善し、年間1万5,000トンのCO₂排出削減を実現した。

 風力発電事業を担う三一重能は、2024年に累計1,358億kWhの発電量を記録し、7,287万トンのCO₂削減に貢献。さらに同年10月には、世界最大級となる35MW級6自由度風力試験台を稼働させ、設備の信頼性と運用効率の向上を図っている。

■サプライチェーン全体で低炭素推進
 三一集団は、低炭素の理念を製造・調達・運営の全価値チェーンに拡大。製造部門では、三一重工傘下の22拠点がすべて排出許可を取得し、排水・排気・騒音などの排出基準をクリア。12拠点がISO14001の環境マネジメント認証を取得し、21工場で太陽光発電を活用。年間のクリーン電力利用は7,607万kWhに達し、全体の13.8%を占めた。

 調達分野でも、三一国際はESGに基づくサプライヤー評価体制を整備し、低評価や法令違反の業者は取引停止とする厳格な運用を実施。三一重能は風力業界で初めてISO 20400に基づく持続可能な調達認証を取得し、98.8%の取引先と環境・労働条項を含む契約を締結した。

 同集団は、中国の「新時代の夢」と、第4次産業革命と第3次エネルギー革命がもたらす技術革新の波を好機と捉え、高品質な成長と持続可能な未来の実現をめざすとしている。

 ニュースリリース