・ネットゼロ目標達成に向けた革新技術として注目
JCB :2025年6月5日
英国の建設機械大手JCBは、同社が開発した革新的な水素燃料エンジンを、6月19日から22日まで開催される英国最大級の農業展示会「Royal Highland Show(ロイヤル・ハイランド・ショー)」で初公開すると発表した。
同展示会は、エディンバラ郊外のイングリストンで開催される英国の農業分野で最も権威ある展示会の一つ。JCBの水素エンジンは、気候変動対策におけるネットゼロ目標達成を支援する最先端技術を紹介する「プレジデンシャル・ソリューション・ハブ」の目玉展示として注目される。
■4年間、1億ポンド投じた開発プロジェクト
JCBでは約150人のエンジニアチームが約4年間にわたり、総額1億ポンド(約190億円)を投じて水素エンジンの開発に取り組んできた。完成したエンジンは、同社の代表的製品であるバックホーローダーやテレハンドラーに搭載されている従来の「DieselMAX」エンジンと同等の性能を実現している。
初回プロトタイプ完成後、130台の評価用エンジンが組み立てられ、徹底的な試験が実施された。現在、複数の建設機械レンタル会社が実際の現場でこれらのエンジンと専用給油システムを使用した実証試験を行っており、極めて良好な結果を得ているという。
■法規制面でも前進、欧州で販売認証取得
今年に入り、水素エンジンの実用化に向けた法的な障壁も次々と解消されている。1月には、欧州各国の車両認証当局がJCBの水素燃料エンジンの販売を認証し、他の国々も追随する見込みとなった。
4月には英国政府が道路交通法規を改正し、水素燃料を使用する農業・建設機械の公道走行を可能とする規制緩和を実施。さらに5月には、EU型式認証を完全取得し、EU Stage V排出ガス規制に適合することが確認された。これにより、JCB製品だけでなく、他メーカーのオフロード機械への搭載も可能となった。
■「グリーン燃料への転換機会」
ロイヤル・ハイランド協会のジョージ・ライオン会長は「過去1年間、農業従事者がネットゼロ目標に対応できる革新的ソリューションの推進に取り組んできた。JCBの新しい水素エンジンは、馴染みのある内燃機関技術を維持しながら『グリーン』燃料に転換する機会を提供するものとして、今回のソリューション・ハブへの出展を歓迎している」とコメントした。
水素燃料技術は、カーボンニュートラル実現に向けた重要な選択肢として世界的に注目が高まっており、今回のJCBの取り組みは建設・農業機械業界における脱炭素化の先駆的事例として業界関係者の関心を集めそうだ。
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