バルメット、新戦略「リード・ザ・ウェイ」発表、2030年財務目標を上方修正

 Valmet (バルメット):2025年6月4日

 フィンランドに本社を置くパルプ、紙、エネルギー産業向け技術・サービスの世界的なリーディングサプライヤーであるバルメットは6月4日、新たな経営戦略「リード・ザ・ウェイ(Lead the Way)」と、2030年までの意欲的な財務目標を発表した。同社が5日に開催するキャピタルマーケットデー2025に先立ち公表した。

 バルメットのトーマス・ヒナースコフ(Thomas Hinnerskov)社長兼CEOは、「10カ月前に社長兼CEOに就任して以来、世界中の顧客、従業員、投資家と深く対話する機会を得た。これらの対話で、バルメットの225年の歴史、強固な顧客関係、献身的な従業員の存在を再認識した。同時に、潜在能力を最大限に引き出すには、業績向上、責任明確化、新たな価値創造を可能にするマインドセットと文化の変革が必要であることも明らかになった」と述べた。

 新戦略「リード・ザ・ウェイ」は、以下の4つの戦略的原則に基づいている。
* 顧客の成功(Customer success)
* ライフサイクルへのコミットメント(Lifecycle commitment)
* グローバルな競争力(Global competitiveness)
* 説明責任(Accountability)

 これらの原則は、3月31日に発表され7月1日に施行される新たな事業運営モデルによって強化される。この新モデルにより、顧客に密着した強力な事業領域での運営が可能になり、サービスとテクノロジーにおける統合された専門知識が提供される。また、製造と調達を担当する新設の「グローバルサプライユニット」が、業務効率とコスト競争力を中心的に推進する。

■野心的な2030年財務目標
 バルメットは、今回の戦略刷新に伴い、2030年までの財務目標を大幅に引き上げた。
* 経常純売上高成長率(CAGR):サイクルを通じて 5%(従来目標:市場成長率の2倍以上または市場成長率を上回る)
* 比較可能EBITAマージン:15%(従来目標:12~14%)
* 税引前投下資本比較可能利益率(Comparable ROCE):20%(従来目標:15%以上)
* ギアリング:50%未満(新目標)

■セグメント別戦略ミッションと目標
 バルメットは、社内の2つの主要セグメントに対し、それぞれ異なる戦略ミッションと優先事項を設定している。
 バイオマテリアルソリューション&サービス部門(パルプ、エネルギー、循環型経済、包装・紙、ティッシュの3つの事業領域で構成)
* 戦略ミッション:「循環型経済の推進(Advancing circularity)」
* 目標:2030年までにバイオマテリアルサービスにおける有機的成長を8%に倍増させ、比較可能EBITAマージン14%を達成することを目指す(2025年第1四半期時点:10.5%)。新設のグローバルサプライ組織は、調達、ロジスティクス、製造活動の最適化を通じて、このセグメント全体で1億ユーロのコスト効率化を目指す。

 プロセスパフォーマンスソリューション部門(オートメーションソリューションとフローコントロールの2つの事業領域で構成)

* 戦略ミッション:「資源効率の最大化(Unlocking resource efficiency)」
* 目標:2030年までに有機的成長を市場成長率の2倍以上に加速させ、比較可能EBITAマージン20%を達成することを目指す(2025年第1四半期時点:17.6%)。

■2025年通期ガイダンスは据え置き
 バルメットは、2025年の純売上高と比較可能EBITAがそれぞれ2024年(純売上高53億5,900万ユーロ、比較可能EBITA6億900万ユーロ)と同水準で推移するという2月13日発表のガイダンスを据え置いた。

 バルメットは5日、キャピタルマーケットデー2025を開催し、新戦略に関する詳細な説明と質疑応答を行う。イベントの模様はライブウェビキャストで視聴可能。
今回の戦略変更は、バルメットが持続可能な産業の未来を築く上でのリーダーシップを強化し、すべてのステークホルダーにさらなる価値を提供することを目指すものだ。

 ニュースリリース