・危険地域での作業安全性向上、人手不足解消へ
総合建設機械レンタル大手のアクティオ(東京都中央区)は5月29日、遠方から重機を安全かつ効率的に操作できる「重機遠隔操作システム」を開発したと発表した。建設現場の安全性向上と人手不足の解消を目的とした独自開発のシステムで、通信技術はソフトバンク、映像伝送技術は株式会社ジザイエとの協業により実現した。
■1台でバックホーとダンプ操作 同システムの最大の特徴は、1台の操作席からディスプレイを切り替えることで、バックホー(0.14立方メートル)とキャリアダンプ(2.5トン)の両方を操作できる点だ。オペレーターは安全な場所に設置された操作席で、ジョイスティックやタッチスクリーンを使って遠隔地の重機を制御する。
現場の状況把握には、重機に取り付けられた高解像度カメラシステムを活用。360度パノラマビューを提供する全方位カメラや、広角・望遠レンズなど複数のカメラを組み合わせ、マルチスクリーン対応の大型ディスプレイで複数の視点を同時に表示できる。
■衛星通信で山間部でも対応
通信面では、ソフトバンクの高速光回線に加え、低軌道衛星ブロードバンドサービス「Starlink Business」を採用。通信環境が整っていない山間部や災害現場でも遠隔操作が可能となる。さらにSD-WAN技術との連携により、セキュアな通信環境を構築している。
GPS位置情報システムや加速度センサー、ジャイロセンサー、障害物検知センサーなどの各種センサーを搭載し、リアルタイムでの状況把握を実現。緊急停止ボタンやセーフシステム、バックアップ電源などの安全装置も備える。
■幅広い分野での活用期待 適用分野は建設現場や土木工事にとどまらず、解体作業、ダム・トンネル工事、自然災害現場での復旧作業、地下採掘、海底資源開発、林業、大規模農場での作業自動化など多岐にわたる。
同社は今後、AI技術や自動運転技術の導入、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)技術との融合により、作業の自動化と効率化をさらに推進する方針だ。電動化との組み合わせにより、排出ガスやCO2削減による環境負荷軽減も期待される。
アクティオは「レンタル」と「コンサルティング」を組み合わせた造語「レンサルティング」をコンセプトに、単なる機械の貸し出しを超えた付加価値の高いサービスを展開してきた。今回のシステム開発も、その一環として位置づけられる。
建設業界では深刻な人手不足が続く中、同システムの導入により作業効率の向上と安全性の確保が期待される。移動時間の削減によるコスト削減効果も見込まれており、業界の働き方改革に貢献する可能性がある。
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