横浜港で水素燃料電池クレーン実証開始、脱炭素化へ新たな一歩

・国交省、2050年カーボンニュートラル実現へ港湾機能高度化を推進

 国土交通省は6月2日、横浜港南本牧ふ頭地区において、水素燃料電池で稼働する荷役機械の現地稼働実証を開始したと発表した。2050年カーボンニュートラル実現に向けたカーボンニュートラルポート(CNP)形成の一環で、港湾の脱炭素化に向けた重要な取り組みとなる。

 実証実験では、タイヤ式門型クレーン(RTG)のディーゼルエンジン発電機を水素燃料電池機に換装し、実際の荷役作業での稼働データを収集する。同省は今年度中に現地実証を実施し、来年度にかけて港湾施設の技術基準改訂に向けた検討を進める予定。

 国交省では、我が国の港湾や産業の競争力強化と脱炭素社会の実現を両立させるため、CNP形成を積極的に推進している。港湾ターミナルの脱炭素化は、荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾形成に不可欠とし、荷役機械の脱炭素化を重要課題に位置づけている。

 今回の横浜港での実証と並行して、神戸港では水素エンジンで稼働する荷役機械の実証も進行中。両実証の結果を基に、「水素を燃料とする荷役機械の導入促進に向けた検討会」で安全かつ円滑な水素導入に向けた環境整備を行い、水素燃料荷役機械の導入拡大を図る方針だ。

 港湾の脱炭素化は、日本の物流拠点としての国際競争力維持と環境目標達成の両面で重要な意味を持つ。今回の実証実験が成功すれば、全国の主要港湾への水素燃料機械導入に弾みがつくことが期待される。
 
 ニュースリリース