三菱ロジスネクスト、2024年度決算説明、減収減益の要因と今後の戦略を総括

 三菱ロジスネクストは6月4日に公開した2024年度(2025年3月期)通期決算説明会資料において、減収減益となった業績の背景や、2025年度以降に向けた巻き返しの方針を明らかにした。資料では、北米市場の不振や一時費用の発生が業績に与えた影響に加え、今後の成長戦略としてバッテリー車の拡充や物流ソリューション事業の本格展開について説明がなされた。

 2024年度の業績は、売上高が前期比5.2%減の6,655億円、のれん等償却前営業利益が41.2%減の311億円、純利益が68.5%減の87億円となり、いずれも大幅な減益となった。主因は、北米市場における代理店の在庫調整の長期化や、エンジン認証の遅延に伴う生産コスト増・廃却損失・評価損の計上といった一時的な要因が重なったことによる。

 地域別では、日本市場は堅調に推移し、円安による輸出採算の改善も相まって増収を確保。一方、米州は310億円の減収となり、全体業績を大きく押し下げた。欧州・アジア・中国市場では、需要は底堅かったものの、中国メーカーの台頭による競争激化が収益を圧迫した。

 こうした状況を受けて、同社は2025年度に業績の反転を見込む。売上高は前年比1.4%増の6,750億円、営業利益(のれん等償却前)は同35.1%増の420億円、純利益は同96.2%増の170億円と大幅な増益予想を示した。北米市場では、在庫調整が一巡し受注が回復基調にあるほか、2024年度に発生した一時費用の反動、価格改定や販売台数の増加(前年比3千台増の95千台)が収益押し上げに寄与する見通しである。

 あわせて説明会では、中期経営計画「Logisnext Transform 2026(LT26)」に基づく今後の重点施策についても言及された。特に、世界的に進むバッテリー車へのシフトに対応するため、北米市場向けに新型バッテリー車を今期中に投入するほか、中国市場にはコスト競争力を重視したローエンドモデルを開発し、5月より受注を開始した。

 生産体制面でも強化が進む。米国・ヒューストンではバッテリー車生産の新工場を建設し、欧州・フィンランドでは塗装能力を増強する新工場が稼働を開始。これにより、地域密着型の供給体制と為替・関税リスクの緩和を図る。

 また、成長分野として位置付ける物流ソリューション事業では、自動化技術「SynfoX(シンフォックス)」や混在運用管理システム「ミクストフリートソリューション」の開発・販売を本格化。2024年度の同事業売上は前年の2.5倍にあたる459億円となり、2026年度に600億円規模まで引き上げる計画だ。

 さらに国内では、営業・販売体制の再編として、直系販売会社8社を統合し、2025年10月に新会社「ロジスネクストジャパン(仮称)」を設立予定。変化の激しい外部環境にも柔軟に対応できる効率的な体制づくりを進める。

 2025年度は、2024年度に顕在化した課題の克服と成長投資の成果が問われる1年となる。同社は「現地最適・変化即応」をキーワードに、電動化・自動化の潮流を捉えながら、グローバル市場での競争力強化を目指す。

 三菱ロジスネクストの2024年度決算説明会資料