バルメット、ハンガリーで2基納入、プラントの長期開発支援へ

 Valmet (バルメット):2025年5月28日

 フィンランドのバルメットは、ハンガリーの紙・パルプメーカーであるハンブルガー・コンテナボード・ドゥナウーイヴァーロス社(Hamburger Containerboard Dunaújvaros)に対し、添加剤供給システムのアップグレードと冗長蒸気削減ステーションシステムの2基を納入する。電力ボイラーの可用性と環境性能を高めるとともに、電力備蓄市場への対応力向上を図り、顧客の長期的なプラント開発を支援する。

 追加給餌システムのアップグレードは2025年第1四半期に、蒸気削減ステーションシステムは同年第2四半期に、それぞれ受注した。いずれも金額は非公表。設置作業は2025年秋、同社工場の年次停止期間中に実施される見通し。

 ハンブルガー・コンテナボード・ドゥナウーイヴァーロス社のプロジェクトマネージャー、ダーニエル・パニ氏は「バルメットとの協業によってボイラーの可用性や生産の柔軟性を高めるだけでなく、成長中の電力備蓄市場におけるビジネス機会を広げられる」とコメント。

 また、バルメットのEMEAエネルギーサービス担当セールスマネージャー、サンポ・スモランダー氏は「2015年のCFB(循環流動層)ボイラー納入以降、同社との関係は良好に推移している。長期サービス契約により、共同開発の道も開けた」と語った。

■納入の技術概要
 今回の納入には、新たな水酸化カルシウムサイロによる添加給餌システムのアップグレード、およびタービンバイパス用途の冗長蒸気削減ステーションシステムが含まれる。アップグレードにより、ボイラー煙道ガスからの酸性ガス除去性能が向上。さらに、2系統の冗長ラインがノンストップ稼働と環境性能の向上に寄与する。新設のサイロは100立方メートルで、水酸化カルシウムの貯蔵能力拡大を図る。

 一方、顧客は電力網の周波数制御と電力バランス維持を目的としたaFRR(自動周波数回復リザーブ)への参加を検討しており、段ボール生産に必要なボイラー負荷を維持しながら、余剰電力の供給が求められる。このため、高圧蒸気を処理可能な蒸気削減ステーションの設置が不可欠となっている。

 納入内容には、必要な配管とバルブを備えた新機器の設計・製造、プロジェクト管理、現地監督、プラント自動化システムの改修、設置・試運転作業が含まれる。

■顧客企業の概要
 ハンブルガー・ハンガリー(Hamburger Hungaria Ltd.)は、プリンツホルングループ傘下で、欧州有数の茶色コンテナボード紙メーカー。ドゥナウーイヴァーロスに2つの生産ラインを構え、年間70万トンのリサイクルコンテナボード紙を製造している。併設するボードミルでは、同社製コンテナボード生産に必要なプロセス蒸気と電力をバルメット製CFBボイラーによって賄っている。

■バルメットについて
 バルメットは、パルプ・製紙・エネルギー分野を中心とするプロセス技術、自動化、サービスのグローバルサプライヤー。自動化およびフロー制御ソリューションにより、プロセス産業の幅広い分野にサービスを提供している。社員数は世界で約1万9,000人。225年以上の産業経験を有し、持続可能性と継続的改善に注力してきた。2024年の売上高は約54億ユーロ。ナスダック・ヘルシンキに上場、本社はフィンランド・エスポーに置く。

 スペルなどは、ニュースリリース参照