NTNが5月14日に発表した2025年3月期連結業績によると、売上高は8,255億円(前年同期比1.3%減)となり、営業利益は229億円(同18.4%減)、経常利益は105億円(同47.6%減)と厳しい業績となった。親会社株主に帰属する当期純損失は238億円に上り、前年の純利益105億円から大きく悪化した。
同社は、2024年4月より開始した中期経営計画「DRIVE NTN100 Final」に基づき、「事業構造の変革(Transformation)」を推進。生産再編を軸にした事業改革を進める一方、安全・品質・法令遵守・コスト・キャッシュ・納期・開発の強化(SQCCD)にも注力し、収益基盤の強化を図っている。
■セグメント別業績
地域別の業績を見ると、日本市場では売上高が3,545億円(前年同期比2.7%減)となり、販売規模の縮小やコスト増の影響でセグメント利益は112億円(同26.4%減)にとどまった。
米州市場では、補修市場向け需要が増加したものの、OEM市場での減少が響き、売上高は2,718億円(同1.6%減)、セグメント損失は3.9億円となった。
欧州市場では、産業機械および自動車向けのOEM販売が低調で、売上高は1,905億円(同1.5%減)、セグメント損失は41.6億円と悪化。アジア市場でも販売規模が縮小し、売上高は1,685億円(同3.2%減)、セグメント利益は147億円(同6.6%減)だった。
事業形態別では、軸受他事業の売上高が3,407億円(同1.8%減)となり、営業利益は137億円(同22.7%減)。CVJアクスル事業は売上高4,848億円(同0.9%減)、営業利益92億円(同11.2%減)となった。
■今後の見通し
2026年3月期の業績予想について、同社は売上高7,900億円(前期比4.3%減)、営業利益240億円(同4.5%増)、経常利益110億円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損失60億円(前年の損失238億円から大幅縮小)を見込んでいる。
ウクライナ・中東情勢や米国通商政策の動向、物価上昇や金融引き締めなど、先行き不透明なリスク要因があるものの、同社は事業構造改革を継続し、収益改善を目指す方針を示している。今後の市場環境や政策動向を注視しながら、競争力強化と企業価値向上に向けた取り組みを加速するとしている。
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