日本精工、24年度売上は1.0%増の7,966億円、産業機械事業好調も自動車事業に課題

 日本精工が5月12日に発表した2025年3月期連結業績によると、売上高は7,966億円(前期比1.0%増)、営業利益は284億円(同3.9%増)と堅調に推移した。税引前利益は251億円(同4.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は106億円(同25.2%増)となった。

 同社は2022年度から2026年度までの5ヵ年を「中期経営計画2026」と位置づけ、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいる。世界経済は米国の金融政策転換や中国経済の減速懸念が続く中、為替の円安推移が業績を押し上げた。

■セグメント別業績
 産業機械事業は、設備投資の回復と円安の影響により売上高3,614億円(同4.8%増)、営業利益139億円(同74.1%増)と大幅な増益を達成した。日本市場では工作機械向け販売が好調で増収。米州ではアフターマーケットと半導体製造装置向け需要が堅調に推移。欧州は市況悪化の影響で減収となったが、中国では鉄道向け販売が増加し業績を牽引した。

 一方、自動車事業はグローバルな生産台数の減少が響き、売上高4,016億円(同1.7%減)、営業利益160億円(同13.4%減)と苦戦した。日本では一部メーカーの生産・出荷停止が響き減収。米州では販売回復を背景に増収となったものの、欧州の自動車市場低迷と中国での日本車販売不振が業績を押し下げた。

■今後の見通し
 2026年3月期の連結業績予想は、売上高7,600億円(前期比4.6%減)、営業利益220億円(同22.7%減)、税引前利益190億円(同24.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益70億円(同34.3%減)と厳しい見通しを示している。

 地政学的リスクや米国通商政策の影響による世界経済の減速懸念が強まる中、同社は「産業機械事業の成長」と「自動車事業の収益改善」を柱に、事業戦略を強化する方針だ。

 日本精工の2025年3月期決算短信
 決算説明資料