Moog Inc. (ムーグ社):2025年5月28日
ニューヨーク州イーストオーロラ—-米空軍研究所(AFRL)は、国家安全保障を担う宇宙ミッションに使用される人工衛星の能力強化を目的に、米ムーグ社(Moog Inc.、NYSE: MOG.A/MOG.B)と新型推進システムの開発契約を締結した。
今回契約されたのは、化学推進と電気推進を組み合わせた「マルチモード推進システム」の開発事業。単一の推進剤および燃料タンクを化学・電気の両方の推進方式で共有する仕組みで、軍用衛星にこれまでにない柔軟性と適応性をもたらすとされる。
この新型推進システムは、高推力と機動性を特徴とする化学推進と、燃費効率に優れた電気推進を融合。ミッションごとの優先度や目的の変化に応じ、衛星が長期間にわたり柔軟に対応できる設計となっている。開発の加速と並行し、リードタイムや運用コスト、サイズ・重量・電力の最適化も見込まれており、衛星の搭載能力の多くをミッション機器に充てられるようになる。
衛星推進は、軌道変更、姿勢制御、位置保持、精密な指向制御、軌道上整備、軌道機動など、宇宙機の基本機能を支える中核技術であり、推進効率は衛星の寿命と機動性に直結する。
ムーグ社エンジン部門のマイク・ポパディック部門長は、「この技術革新は、宇宙領域における新たな作戦コンセプトの実現を可能にするものであり、衛星推進の効率、柔軟性、持続可能性の新たな基準となる」と述べた。また、「米空軍および宇宙軍との連携を深め、この革新的技術の実用化を推進していきたい」と強調した。
ムーグ社スペース・ディビジョンは、人工衛星、ミサイル、ロケット、有人カプセル向けの先進的なシステム・部品の設計・製造・統合を手がけており、軍事・民間を問わず宇宙ミッションの信頼性と効率性、成功率の向上に貢献している。
ムーグ社は高性能精密モーション制御および流体制御システムの世界的な設計・製造・統合企業であり、その製品群は、軍用・民間航空機、人工衛星、ロケット、兵器システム、産業用自動機械、海洋・医療機器など、幅広い分野に展開されている。
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