英JCB、水素エンジンでEU型式認証を取得、ネットゼロに向け前進

 JCB :2025年5月23日

 英建機大手JCBは、オフロードモバイル(非道路移動)機械向けに開発を進めていた水素燃焼エンジンについて、EU型式認証を完全取得した。これにより、同エンジンはEU加盟27カ国およびEEA(欧州経済領域)、EFTA(欧州自由貿易連合)諸国などでの使用と販売が正式に認められた。JCBは建設機械メーカーとして初めて、水素を燃料とする完全認証済みの内燃エンジンを開発した。

 EU型式認証は、排出ガスに関する規則(EU)2016/1628に基づいて発行され、JCBの水素エンジンがEUステージVの排出基準に適合していることを証明するもの。今回の認証は、これに先立ち、欧州本土の9カ国で「新技術」として暫定的に使用が認められていた流れを正式なものとした。

 JCBのAnthony Bamford (アンソニー・バンフォード)会長は、「欧州で内燃機関の終焉が語られていたが、今回の認証取得は水素が化石燃料の代替として有望であることを示す重要な一歩だ」と語った。また、「我々の水素技術を市場に投入する準備は整いつつある。JCBのお客様が現場でその違いを実感する日は近い」と強調した。

 同社は、150名のエンジニアを動員し、約4年間で総額1億ポンドを投じて水素エンジンの開発を推進。これまでに130台以上の評価用エンジンを製造しており、バックホーローダー、テレスコピックハンドラー、発電機セットなどに搭載し、実地試験を進めている。実機の市場投入に向けたテストも最終段階に入っており、発売は目前とみられる。

 英国においても、水素エンジンは当初「新技術」として承認されていたが、今回、正式に型式認証が付与された。JCBは、ゼロエミッションを目指す建設現場における新たな選択肢として、水素エンジンの普及を加速させる構え。

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