大林組、「危険作業を未然に防止するクレーン」実現へ、統合管理システム「ORCISM」開発

 大林組は5月28日、クレーン作業の安全性と生産性の向上を図るため、デジタルツイン技術を活用した統合管理・制御システム「ORCISM(オーシズム)」を開発したと発表した。操縦支援や遠隔・自動運転、施工計画のシミュレーションなどを統合的に管理するシステムで、今後は埼玉県川越市の東日本ロボティクスセンター内に新設した実証フィールドで技術検証を進める。

 ORCISMは三つの主要機能で構成される。一つ目は、障害物との接触を避ける作業支援機能「クレーンマシンガイダンス」。二つ目は、遠隔・自動運転により省人化と技能補完を図る「クレーンマシンコントロール」。三つ目は、生産性の向上と情報セキュリティを担う「クレーンマシンマネジメント」だ。

 これらの機能はデジタルツイン上で統合的に管理され、仮想空間での障害物検知や吊り荷の揺れの監視、フィジカル空間へのリアルタイムな警告や減速停止制御が可能になる。さらに、吊り荷の姿勢制御装置「スカイジャスター®」や、無資格者の機械操作を防ぐ「フェイスターター®」などの技術とも連携可能とする。

 実証フィールドには、大型建造物に用いられる720トンメートル級および360トンメートル級のタワークレーンを2基設置。遠隔操作室も備え、クレーン周辺の環境をデジタルツインで再現する。仮想空間での操作指示を実空間に即時反映できる環境を整え、クレーン作業の効率化と災害リスクの低減を図る。

 大林組は今後、実証を通じてORCISMの完成度を高め、「危険作業を未然に防止するクレーン」の実現を目指す構えだ。建設現場の安全・安心と同時に、労働力不足や熟練技能者の減少といった業界課題にも対応する。

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