安川電機は5月14日、自動車製造工程の課題解決に向けた新型多用途ロボット、「MOTOMAN-GP280L」と「MOTOMAN-GPT360」の販売を開始したと発表した。高可搬質量とロングリーチを両立し、電動化に伴う部品の重量化や、省スペース化が求められる生産現場での効率的な自動化に貢献する。
■電動化進む自動車産業のニーズに対応 電動車(EV、PHEV)の普及加速に伴い、搭載される二次電池は航続距離確保のため、大容量化・高重量化が進む。これに伴い、電池モジュールやパックの搬送・組立工程における自動化ニーズが急速に高まっている。特に、クリーンルーム環境や感電リスク回避の観点から、人手を介さずロボットを活用した自動化が不可欠となっている。
また、自動車のボディ部品製造現場では、スペース効率を最大化するため、設備を密集させたレイアウトが一般的だ。このような状況下で、大型かつ重量のある部品を扱うロボットには、高い可搬能力に加え、限られたスペースでの柔軟な動作が求められていた。
安川電機はこれらのニーズに応えるべく、フットプリントを最小限に抑えつつ、高可搬性とロングリーチを特長とするGP280L(可搬質量280kg、最大リーチ3114mm)およびGP360(可搬質量360kg、最大リーチ2832mm)を開発。従来の機種では対応が困難だった現場への適用が可能となる。
■新型ロボットの主な特長
新製品の主な特長は以下の通り。
* 高可搬性: 300kgクラスの可搬能力により、電池モジュール・パックの搬送・組立、車体フレームの搬送など、重量物を取り扱う工程で効率的かつ安全な作業を実現する。
* ロングリーチ: 3,000mm級のリーチを備え、大型ワークの接合・組立作業に対応する。
* 共通コントローラ「YRC1000」採用: 世界最小クラスのコンパクトさを誇るロボットコントローラ「YRC1000」を採用。設置スペースを削減し、海外仕様でも共通サイズで対応可能。操作性を向上させた軽量プログラミングペンダントも付属する。
■主要用途
今回の新型ロボットは、車載二次電池製造工程におけるマテリアルハンドリングや組立、自動車ボディ部品のマテリアルハンドリングやSPR(Self-Piercing Riveting)、FDS(Flow Drill Screw)などの機械接合、さらにはスポット溶接といった幅広い用途での活用を見込む。
新製品は5月14日より販売を開始しており、価格はオープン。安川電機は今回の新型ロボット投入により、自動車産業のさらなる自動化・効率化を支援していく方針。
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