油研工業、2030年へ長期ビジョン公表 – グローバル企業へ変革、成長戦略加速

 油研工業は5月15日、2022年度から2030年度までの3段階からなる「長期ビジョン ~YUKEN GROUP VISION 2030~」を策定したと発表した。これに合わせ、2026年3月期に始まる第2期中期経営計画(Step2)の詳細も公表。同社は「油圧と共に生きる」を経営理念に掲げ、品質と信頼を基盤とする「真のグローバル企業」への進化を目指す。

■三段階でグローバル企業へ
 長期ビジョンでは、2030年度を最終目標に3年ごとのステップを設定した。
* 第1期(Step1:2022~2024年度):基盤構築に注力し、工場・製品の最先端化への積極投資、サプライチェーンの構築、本社機能の再編、人材の多様化・組織再編を推進。この期間、連結売上高は目標を上回る335億円を達成、連結経常利益も19.2億円と大幅に伸長した。
* 第2期(Step2:2025~2027年度):成長戦略の実践を掲げ、高収益市場でのシェア拡大、再投資による最先端製品の拡充、環境配慮型製品群の拡大を図る。
* 第3期(Step3:2028~2030年度):「真のグローバル企業」への進化を標榜し、航空宇宙や水圧などの新規市場、油圧ロボットなどの新規事業、未開拓地域への油圧技術浸透に挑戦する方針。

■中期経営計画(Step2)の財務目標
 第2期中期経営計画(Step2)では、2028年3月期に連結売上高370億円、海外売上比率65%以上、営業利益30億円、経常利益30億円を目標に掲げる。また、自己資本比率40%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、配当性向50%程度、総還元性向70%程度の達成を目指す。

■市場別戦略と成長投資
 各市場の特性に応じた戦略を展開し、特にインド市場を重要な成長ドライバーと位置づけた。
* 日本市場:成熟市場として「質」を追求。顧客ニーズに合わせた特化製品の開発と、日本工場の先端化による精密・高効率ソリューションの提供に注力する。
* 中国市場:価格競争の激化に対応するため、汎用製品は生産体制の最適化とコストダウンを図りつつ、ニッチな産業で収益確保を目指す。
* インド市場:旺盛な需要を取り込み、モバイル市場や工作機械市場の開拓を進める。生産能力と品質向上のための投資を継続し、インド経済成長率を超える年平均8~9%の伸びを目指す。
* 欧米市場:ハイエンド製品の拡販と納期対応力強化を推進し、M&Aも視野に入れる。
* その他地域(台湾・韓国・ASEANなど):DX推進による収益力改善や、高成長地域での新販社設立を検討する。
 成長投資として、2023年3月期から2028年3月期の累積で設備投資100億円、開発投資25億円、環境投資1億円を計画。CO2排出量を2022年3月期比で30%削減するESG目標も設定した。

■M&Aも活用し事業拡大へ
 同社は、将来的な市場需要に対応するための製品群拡大や既存販売網の相互補完を目的としたM&Aを積極的に検討する。また、Step3での新たな市場・事業進出への足掛かりとなるM&Aも模索し、持続的な成長を目指す方針を示した。

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