三井E&S、「Rolling Vision 2025」を策定——2030年に向けた持続的成長戦略を推進

 三井E&Sは5月22日、2024年度の決算実績と事業環境の変化を踏まえ、中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2025」を発表した。同計画では、企業価値の向上を目指し、財務・人材の機能戦略に加え、中核事業の強化と新規事業の拡大を図る。

■成長戦略の柱
 2030年の目標達成に向け、同社は財務基盤の強化と事業成長投資を推進する。特に、脱炭素社会の実現と人口縮小社会の課題解決をテーマに、次世代技術の開発に注力。主な施策は以下の通り。

・アンモニア焚き二元燃料エンジン開発:海運業界の脱炭素化を支援するため、環境対応型エンジンの試験運転を開始。
・舶用推進システム強化:GX(グリーントランスフォーメーション)戦略に沿った新燃料エンジンと関連機器の開発・供給体制の拡充。
・物流システムの世界展開:米国市場を含めた輸送船の有効活用や生産能力の拡大を進め、国際競争力を強化。

■財務・人材戦略
 財務面では、ROIC(投下資本利益率)>WACC(加重平均資本コスト)を実現することを目標とし、設備投資や研究開発への適切な資金配分を行う。また、株主還元策として配当性向を25%に引き上げ、32年ぶりの中間配当を実施する方針を示した。

 人材戦略としては、キャリア採用の強化や外国人採用比率の拡大により、多様な人材活躍の場を創出。さらに、初任給の増額や住宅支援制度の導入を進め、働きやすい環境づくりに注力する。

 三井E&Sは、今後も「Rolling Vision」のローリング方式による計画更新を継続し、2030年に向けた持続的な成長を目指す。

 三井E&S Rolling Vision 2025