・中国電池設備投資の一服響く、ギガキャスト対応機で挽回へ
芝浦機械は5月22日と23日、2025年3月期の連結決算と2026年3月期の業績見通し、さらには次世代を見据えた新製品群を発表した。2025年3月期は、中国におけるリチウムイオン電池向けセパレーターフィルム製造装置の販売好調に牽引され、売上高1,235億2千1百万円(前期比43.7%増)、営業利益129億5千6百万円(同180.9%増)と大幅な増収増益を達成した。しかし、2026年3月期は中国での設備投資が一服する影響を受け、売上高1,400億円、営業利益50億円、純利益33億円と、大幅な減益を見込んでいる。
■新製品攻勢でEV市場を深耕 厳しい見通しが示される中、同社は今後の成長を牽引する新製品群で攻勢をかける。特に注目されるのは、次世代EV生産の切り札とされる「ギガキャスト」に対応する超大型ダイカストマシンだ。今年4月には、世界最大級となる型締力12,000トンの超大型機を受注したことを発表。EV車体の一体成形を可能にする同機の開発・販売は、自動車産業の変革期における同社の戦略的な立ち位置を明確にするものだ。今後は6,000トンから9,000トン級の複数ラインアップ化も進め、多様なEVメーカーのニーズに対応していく方針を示した。
また、23日には超精密5軸マシニングセンタの新機種「UVM-450D(5AH)」の商品化も発表した。既存の「UVM-700E(5AD)」と合わせ、超精密加工の幅広いニーズに対応。高精度な部品製造に不可欠な機械として、半導体製造装置部品や医療機器部品など、様々な分野での需要を見込む。
■「モノ+コト」で高付加価値化、グローバル展開加速
当面の経営方針として、同社は「モノ+コト」ビジネスへの転換を掲げる。製品提供だけでなく、技術力やDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した高付加価値サービスの提供を通じて、顧客の価値最大化に貢献する姿勢を強調した。
グローバル展開も加速しており、インドやタイでの工場設立など、国際的な生産体制の強化を進めている。次世代電池市場への参入も視野に入れ、ドライ電極市場への展開や全固体電池への対応を見据えた投資も積極的だ。
2026年3月期の業績見通しは前期比で大幅な減益となるが、これは前期の特需の反動と捉えられている。同社は、短期的な変動要因を乗り越え、EV関連や高精度加工といった成長分野への積極的な投資と新製品投入、そしてグローバルな事業展開によって、中長期的な持続的成長を目指す構えだ。年間配当は2025年3月期と同額の140円を予定しており、株主還元も意識した経営を続けるとしている。
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