・油圧の暦年は前年比1.3%減の3,515億円、年度は前年度比1.5%減の3,518億円と予測
・空気圧の暦年は前年比2.4%増の5,314億円、年度は前年度比1.8%増の5,299億円と予測
日本フルードパワー工業会(JFPA)は5月22日、「2025年・年度油圧・空気圧機器需要見通し」を発表した。それによると、油圧機器は、暦年が前年比1.3%減の3,515億円、年度は前年度比1.5%減の3,518億円、空気圧機器は、暦年が前年比2.4%増の5,314億円、年度は前年度比1.8%増の5,299億円と予測された。同工業会では、業界の需要動向を調査するため、毎年需要予測を行い公表している。2025年においても「2025年・年度及び2028年・年度の油圧機器・空気圧機器需要見通し報告書」(70ページ)を調査するため、4 月上旬に「総需要委員会」(会員各社など20名で構成)を開催し、需要予測作業を行った。
以下、同資料より抜粋。図表は、資料をもとにkikai-news.netが作成。
油圧空気圧機器の出荷推移表(2016ー2025年度予想)
■経済環境 内閣府が令和7(2025)年3月に発表した月例経済報告によれば、景気の先行きについては、「雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果も相まって、緩やかな回復が続くことが期待される。一方で、物価上昇が消費者心理の悪化を通じて個人消費に与える影響や、通商政策を含むアメリカの政策動向が我が国の景気に下押し圧力を与えるリスクが指摘されている。また、金融資本市場の変動等による影響にも十分留意する必要がある」と報告されている。特に、4月2日、アメリカのトランプ大統領が56カ国・地域に対する相互関税政策を発表し、日本に対しては 24%の関税を課す方針を示した。さらに、米中間では双方が高率の関税を課すことが予想され、この影響で世界的な景気悪化が懸念される状況に陥っている。同業界は油圧及び空気圧部門の輸出依存度が高いため、海外市場の動向に大きく左右される傾向にあり、特段の注意が求められる。
このような経済環境下において、総需要委員会および油圧分科会ならびに空気圧分科会を開催し、「2025年度の需要見通し」を作成したが、今回の見通しは米国の相互関税政策発表以前のデータを基に検討したものであり、当該政策の影響は反映されていないとしている。
■油圧機器出荷額 日本建設機械工業会が発表した建設機械市場子測では、2024年度については、国内、輸出共に減少に転じ、2024年度通年の出荷金額は2兆9,690億円(前年度比11%減)となり、全体では4年振りの減少とし、2025年度については、下期より緩やかに回復に転じるものの、国内、輸出ともに前年並みに推移し、2025 年度通年の出荷金額は、2兆9,714億円(前年度比0%)と予測している。また、市場の約3割を占める輸出においては、不確実性が高く子測が難しいが、減速するとの見方が強いことから、暦年は前年比1.3%減の3,515億円、年度は前年度比1.5%減の3,518億円と予測した。
▽歴年ベース出荷額
2024年 出荷額(実績) 3,563億円(対前年比0.3%減)/2025年 出荷額(予測) 3,515億円(対前年比1.3%減)
▽年度ベース出荷額
2024年度 出荷額(見込み) 3,570億円(対前年度比2.5%増)/2025年度 出荷額(予測) 3,518億円(対前年度比1.5%減)
油圧機器の2025年・年度需要と見通し(PDF)
■空気圧機器出荷額 市場の約15%を占める一般機械部門に関する市場動向について、各工業会が公表した 2025年出荷見通しでは、工作機械が前年比10%増、産業用ロボットが前年比4.8%増、半導体・FPD 製造装置関連が前年比5.0%増とされており、受注の回復が期待されている。また、市場全体の約6割を占める輸出においては、ウクライナ・中東での紛争の長期化に伴う地政学的リスクが収まらず、加えて米中関係の悪化などが影響し、先行きの不透明感が増している。設備投資が当面抑制される傾向が続くと見込まれるが、2025年度後半には半導体・電気関連の需要が増加に転じ、グローバルな半導体設備メーカー向け輸出が拡大する可能性がある。
これらを踏まえ、暦年は前年比2.4%増の5,314億円、年度は前年度比1.8%増の5,299億円と予測した。
▽暦年ベース出荷額
2024年 出荷額(実績) 5,190億円(対前年比9.4%減)/2025年 出荷額(予測) 5,314億円(対前年比2.4%増)
▽年度ベース出荷額
2024年度 出荷額(見込み) 5,205億円(対前年度比4.7%減)/2025年度 出荷額(予測) 5,299億円(対前年度比1.8%増)
空気圧機器の2025年・年度需要と見通し(PDF)
以上
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