ニデック、インドで新工場建設に着手、車載用モーター生産を強化へ

 モーター大手のニデックは、インド共和国ラジャスタン州ニムラナにある既存工場敷地内に、新たな生産棟(第3棟)の建設に着手したことを2025年5月20日に発表した。新棟は車載用モーターの生産拠点として約100億円を投じる予定で、需要が拡大するインド市場での生産能力増強を図る。

■起工式には日印要人も列席
 現地時間2025年5月19日に執り行われた起工式には、ニデック株式会社の岸田光哉代表取締役社長執行役員、ニデックインド株式会社の大嶋啓示社長が出席した。また、日本側からは小野啓一駐インド特命全権大使、日本貿易振興機構(JETRO)インド総代表の鈴木隆史氏が列席。インド側からもラジャスタン州産業開発・投資公社(RIICO)のShivangi Swarnkarマネージングディレクター、インベストインディアのK Karthikeyenバイスプレジデントなど、日印双方の要人が多数出席し、新棟建設への期待の高さがうかがえた。

■成長著しいインド市場で車載用モーター需要に対応
 現在、ニデックインドのニムラナ工場では、第1棟で車載用および家電・空調用モーターを、第2棟で電動バイク向け駆動モーターを生産している。今回建設する第3棟では、電動ステアリング用モーターパワーパック、パークロックアクチュエータ、電動ウォーターポンプ、吸気制御バルブなど、車載用モーターの生産を集約する計画だ。これにより、既存の第1棟は家電・空調用モーターの専用工場となる。

 ニデックは、近年の高い経済成長と中間層の所得向上により、自動車市場が急拡大しているインドを重要視している。2023年度のインドにおける乗用車販売台数は初めて400万台を超え過去最高を更新するなど、持続的な拡大が続いている。しかし、乗用車の普及率は依然として10%以下にとどまっており、今後も高い成長が見込まれる。こうした背景から、日系メーカーを含む各自動車メーカーのインド進出が加速しており、ニデックはこれに伴う車載用モーターの需要増大に対応するため、今回の新棟建設を決定した。

■新棟の概要
 新設されるニデックインド工場第3棟は、電動ステアリング用モーターパワーパック、パークロックアクチュエータ、電動ウォーターポンプなどの車載用モーターの製造・販売を手がける。建設地は首都ニューデリーから南西約120kmに位置するラジャスタン州ニムラナで、延床面積は27,767平方メートル。約600人の雇用創出を見込んでおり、2026年9月の竣工を予定している。

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