荏原製作所、大阪南港の心臓部を刷新 大型ポンプ設備更新で都市機能強化へ

 荏原製作所は5月21日、大阪市建設局から南港第2抽水所の大型ポンプ設備更新工事を受注したと発表した。老朽化したインフラの刷新に加え、頻発する豪雨災害への対応力強化が今回のプロジェクトの主眼だ。

■背景に迫る万博と気候変動の影
 大阪南港の人工島・咲洲に位置する南港第2抽水所(大阪市ではポンプ場を「抽水所」と呼称)は、2025年開催の関西万博会場にも近い。南港地区の住宅地やオフィス街から排出される汚水を住之江下水処理場へ送る一方、降雨時には地域の雨水を大阪湾へ迅速に排水する、まさに市民生活の生命線。しかし、設備老朽化に加え、近年顕著な気候変動による豪雨の増加が、雨水処理能力の確保と緊急時対応における喫緊の課題として浮上していた。

工事概要:最先端ポンプで水害リスクを低減
今回の工事では、先行待機形 立軸斜流ポンプ(1500VZGE型)1台を導入する。このポンプは1分あたり331立方メートルという圧倒的な排水能力を誇り、集中豪雨による洪水や浸水の抑制に大きく貢献すると見込まれる。
工事諸元(抜粋)
* 先行待機形 立軸斜流ポンプ(1500VZGE型): Φ1500mm×331m3/min×7.5m×700kW 1台
* 工期: 2025年3月4日~2027年7月30日
* 施工場所: 大阪市住之江区南港中 1-1-22 (南港第2抽水所内)
今後の展開:持続可能な社会インフラの実現へ

 荏原製作所の長期ビジョン「E-Vision2030」は、「地球にやさしい社会、安全・安心に過ごせる社会インフラ、水や食べるものに困らない世界」の実現を掲げる。南港第2抽水所のポンプ設備更新は、このビジョンの具現化に他ならない。同社は今後も送水や排水能力を向上させたポンプの開発、そしてメンテナンスが容易な設備やサービスの提供を通じて、社会インフラの強靭化を支え続ける方針だ。

 荏原グループは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、ESG重要課題への取り組みを通じて企業価値のさらなる向上を目指している。

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