オカダアイヨンは5月21日、「2025年3月期決算説明会資料」を公開した。
目次
1.会社概要/当社の歩み
2.2025年3月期業績概要
3.2026年3月期想と中期経営計画「ローリングプラン」
4.参考資料
<補足記事>
オカダアイヨン、逆風下の国内事業が牽引 25年3月期は減収減益も次期は増収増益見通し
──「VISION30」へ向けた人材戦略とグローバル展開を加速
油圧ショベル用アタッチメントの国内最大手、オカダアイヨン(東証プライム市場 6294)が21日発表した2025年3月期の連結決算は、売上高265億82百万円(前期比1.9%減)、営業利益22億79百万円(同16.2%減)と、減収減益となった。海外事業の落ち込みが響いたものの、国内事業は過去最高の売上・利益を達成し、強靭な事業基盤を示した。同社は2026年3月期について、売上高280億円(同5%増)、営業利益25億円(同12%増)と増収増益を見込み、年間配当も前期比1円増の75円を予定。長期的成長戦略「VISION30」達成へ向け、人材投資とグローバル展開を加速させる方針だ。
■国内事業が過去最高を更新、海外は回復途上
2025年3月期は、世界的な景気減速や一部市場の不透明感が影響し、海外セグメントが苦戦した。しかし、国内セグメントでは、解体需要の継続や製品ラインナップの強化が奏功し、売上・利益ともに過去最高を記録。同社の主力製品である油圧ブレーカーやクラッシャーなどが、建設・解体現場での高い需要に支えられた形だ。同社の強みである「開発・製造・販売・修理の一貫体制」と、専門の修理部門による手厚いサポートが、国内市場での揺るぎない地位を確立していることを改めて証明した。
■「VISION30」の要、「ローリングプラン」で変革加速
同社は、2030年を見据えた長期ビジョン「VISION30」において、「人は環境をつくる」をスローガンに掲げ、売上高300億円の早期達成を目指している。このビジョンを実現するための具体的なロードマップが、今回公表された中期経営計画「ローリングプラン FY2025~FY2027」だ。
計画では、「人材戦略」「マーケット戦略」「経営基盤強化」の3つの主要戦略が柱となる。
人材戦略では、多様な人材が活躍できる環境整備を最優先課題と位置づける。人事制度の見直しや、中途社員向けの「フォローアップ研修」、管理職・中堅社員向けの「評価者研修」を導入し、従業員のスキルアップとモチベーション向上を図る。さらに、三大疾病保障保険制度の開始や、時差出勤制度、時間単位有給取得制度、副業制度の導入など、柔軟な働き方を支援する施策を拡充。社員の「働きやすさ」と「働きがい」を両立させることで、企業全体の生産性向上を目指す。
マーケット戦略では、国内での営業体制見直しや増産体制・生産性の向上を図り、堅調な需要への対応を強化する。関東・関西の営業所や主力工場の整備、本社・研修センターなどの設備増強も視野に入れ、国内でのさらなるシェア拡大を図る。一方、海外では、米・欧・アジア地域への人材と商材の戦略的投入により、バリューチェーンの強化を進める。特に、海外事業の回復と成長は、同社が目指すグローバル企業への変革において不可欠な要素となる。
経営基盤強化については、「VISION30」で掲げる売上高300億円達成後の見直しを予定しており、持続的な成長に向けた柔軟な経営体制を構築していく方針だ。
■競合他社との差別化、多角的な事業展開
同社の主要競合他社としては、古河ロックドリルや日本ニューマチック工業、TOKU(東空)、TAGUCHi(タグチ工業)などが挙げられる。しかし、オカダアイヨンは、油圧ショベル用アタッチメントにとどまらず、木材を木片チップに加工する高速回転機や、東日本大震災時のガレキ処理で活躍した中低速回転機などの「環境関連機械」、さらには発電所やダム建設用のケーブルクレーン、林業機械など、多角的な事業を展開している点が特徴だ。これは、社会インフラ整備や環境負荷低減といった、幅広い社会課題の解決に貢献する同社の姿勢を明確に示している。
足元の減益はあったものの、オカダアイヨンが打ち出す「VISION30」と具体的な「ローリングプラン」は、国内トップシェアという強みを活かしつつ、人材と技術を基盤としたグローバル企業への変革を推進する同社の揺るぎない意思を示している。建設機械市場のさらなる進化と、それに貢献するオカダアイヨンの今後の動向が注目される。
この記事は、同社の公表された資料等を参考にして当サイトが編集・作成しました。
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