日揮ホールディングス、インドネシアにおける廃プラスチックの油化ケミカルリサイクル実現に向けた事業化検討契約を締結

 日揮ホールディングス(以下、日揮HD)は5月20日、丸紅の子会社である丸紅インドネシア会社と、同社がインドネシアで計画する廃プラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業の実現に向けた油化プロセスの事業化検討に係る業務委託契約を締結したと発表した。

 インドネシアでは、人口増加と都市化により廃プラスチックを含む廃棄物の発生量が増加し、多くの廃プラスチックがリサイクルされずに埋立による最終処分もしくは不適切に処理されており、プラスチックごみの海洋流出量は世界第2位と報告されている。このため、インドネシア政府は製造業(食品や消費材など)、飲食業および小売業を対象に「2029年までの減量、再使用、再利用を通じた30%の廃棄物削減」を義務付けるなど、廃プラスチック排出削減に向けた政策を推進している。

 今回の検討では、丸紅インドネシア会社がインドネシアで連携する現地スタートアップ企業PT Khazanah Hijau Indonesia(Rekosistem社)が運営する都市ごみを対象とした廃棄物選別施設から、従来型リサイクルが困難な複合プラスチックを抽出し、日揮グループが保有する油化プロセスライセンス(Pyro-Blue ®)を活用した廃プラスチック油化ケミカルリサイクルの事業化検討を実施するもの。

 日揮HDは検討の結果を2025年夏頃までにまとめ、検討結果を以て丸紅インドネシア会社は2025年末頃を目途に事業性評価を行う予定。併せて、日揮HD 技術研究所(茨城県大洗町)のベンチ試験設備を用いて、原料に想定する廃プラスチックの油化実証試験の実施を検討していく。

 日揮HDは、東南アジア地域の中規模都市における廃プラスチック発生量に適した小型分散型の油化プラントの展開を模索しており、今回の検討はその観点からも意義あるものと考えている。

 日揮グループでは、企業グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「環境調和型社会」を掲げ、「環境負荷低減に寄与するプラント・設備の建設」、「低炭素・環境対応高機能材の製造」、「環境関連技術のビジネス化」という3つの観点で幅広い取り組みを行っている。

 世界的に資源循環に向けた動きが加速していくことが予測されるなか、日揮グループは今後も、Pyro-Blue®の提案を通じて廃プラスチックのケミカルリサイクルを推進し、ひいては廃プラスチックの排出削減に貢献していく。

<油化ケミカルリサイクルPyro-Blue ®概要>
 日揮グループの自社ライセンスであるPyro-Blue ®は、商用実績を有する旧札幌プラスチックリサイクル株式会社の廃プラスチック油化装置をベースに、日揮グループがプラスチックリサイクルを志向して技術改良を図った廃プラスチックの油化プロセス。塩化ビニル(PVC)とPETが混入するリサイクルの困難な廃プラスチックの処理が可能であり、残渣を適切に排出することで安全かつ連続的な運転を実現する。

<丸紅インドネシア会社 概要>
会社名:PT Marubeni Indonesia
所在地:Menera Astra, 51st Floor, Jl. Jenderal Sudirma av 5-6, Jakarta 10220 Indonesia
設立:1993年
代表者:笠井 信司
事業内容:ライフスタイル、フォレストプロダクツ、化学品、食料、エネルギー、金属、インフラプロジェクト、建機・産機・モビリティ、情報・物流、ヘルスケア等の分野において、輸出入・国内取引等を展開
主要株主:丸紅アセアン会社
7. HP https://marubeni.id/

 ニュースリリース