日工、24年度売上は11.5%増の492億円、25年度予想は3.7%増の510億円

 日工が5月15日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は、491億62百万円(以下、前期比11.5%増)、営業利益27億66百万円(40.5%増)、経常利益30億71百万円(43.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億9百万円(53.1%増)となり、売上高、営業利益、経常利益は過去最高となった。

 2024年度の国内は主力事業であるアスファルトプラント関連事業ではメンテナンスサービスを中心に売上が増加した。コンクリートプラント関連事業は、生コン業界で原材料価格等上昇の販売価格への転嫁がすすんでいることから引続き設備投資意欲が強く売上が増加した。環境及び搬送関連事業は売上は微減ながら利益面で改善が見られた。破砕機関連事業はウクライナ復興支援案件が前期比減少したこともあり売上が減少したが、製造請負関連事業ではM&Aによりグループ入りした松田機工が通年で寄与、大口の案件も重なったこともあり売上が増加した。
 海外は、中国では中国経済の不況の影響を受けているものの底打ち感もあり増収、黒字化。また、タイの売上は増加したが、中国製品の低価格での流入等もあり引続き赤字となった。

 2024年度の世界の経済は、中国経済の景気減速やウクライナや中東で紛争が続く状況にあるものの緩やかな成長を続けていたが、米国の新政権の関税をはじめとする今後の政策に対する不透明感より緊張が高まり、世界経済への影響が懸念される状況となった。日本経済も緩やかな回復基調を続けるも、物価上昇が実質購買力を抑制、賃金引上げにも関わらず実質賃金が低下するなどし個人の消費が停滞、企業活動にも物価上昇、人手不足等が重しになっている。
 日工では、2022年3月に日工グループの2030年のありたい姿を示した2030年ビジョン「高い技術力に裏打ちされたプラント設備・環境製品のトップメーカー且つ、運用・保全サービスによる顧客の経営パートナー」と2022年度から始まる「3ヶ年新中期経営計画(23/3~25/3)」を発表した。中期経営計画2030年ビジョンの実現に向けた体制・プロセス・制度を構築する内部投資フェーズと位置付け、新製品・新サービスの市場投入と目標達成に必要な組織能力の強化に向けて積極投資を行う方針とし、数値目標は、最終年度に連結売上高500億円、営業利益30億円(営業利益率6.0%)としてきた。そうした状況下、3ヶ年の中期経営計画の最終年度を迎えた。
 3ヶ年の中期経営計画の連結売上高500億円、連結営業利益30億円に対して、売上高、営業利益とも若干の未達となった。また2024年度の修正業績予想の売上高480億円、営業利益27億円に対して、売上高、営業利益とも予想を上回った。

 日工2024年度データ

■セグメントの概況
<アスファルトプラント関連事業>
 アスファルトプラント関連事業の売上高は前期比8.6%増の194億80百万円。受注残高は同0.3%増の90億6百万円となった。
<コンクリートプラント関連事業>
 コンクリートプラント関連事業の売上高は前期比19.8%増の142億66百万円。受注残高は同11.3%増の95億28百万円となった。
<環境及び搬送関連事業>
 環境及び搬送関連事業の売上高は前期比1.6%減の32億54百万円。受注残高は大幅に増加し、同61.8%増の12億59百万円となった。
<破砕機関連事業>
 破砕機関連事業の売上高は前期比29.5%減の22億56百万円。受注残高は同61.1%減の3億74百万円となった。
<製造請負関連事業>
 製造請負関連事業の売上高は前期比56.3%増の48億2百万円。受注残高は同17.4%減の19億61百万円となった。
<その他事業>
 その他事業の売上高は前期比9.2%増の51億1百万円。受注残高は同3.9%減の6億94百万円となった。

■ 今後の見通し
 国内アスファルトプラント関連事業は、1980年代に製造されたプラントの更新需要が続いており、同社製品が認定された補助金を活用した引合いの増加、受注の増加が見込まれている。コンクリート関連事業は、生コン業界で原材料価格等上昇の販売価格への転嫁がすすんでいることから引続き設備投資意欲が強く旺盛な需要が見込まれる。またアスファルトプラント関連事業及びコンクリートプラント関連事業におけるメンテナンスサービスは、安定的に推移することが見込まれている。搬送及び環境関連事業は大口案件もあり売上増加が見込まれており、破砕関連事業も受注が回復、売上増加が見込まれている。
 中国事業は引続き中国の景気低迷の影響を受け厳しい価格競争にさらされるが、底打ち感もあり政府経済政策も見込まれることから売上増加を目指す。タイ事業は現在、受注が低迷しているため、当面生産調整をし、在庫の販売に注力する。

 2026年3月期(2025年度)の連結業績は、売上高510億円(3.7%増)、営業利益30億円(8.4%増)、経常利益31億円(0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益21億円(4.5 %増)を達成したいとしている。

 日工の2025年3月期 決算短信
 決算補足資料