ヤマシンフィルタが5月15日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は201億4百万円(以下、前期比11.5%増)となり、営業利益は26億30百万円(86.4%増)、経常利益は26億69百万円(88.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億23百万円(119.1%増)となった。主力事業である建機用フィルタ事業においては、建機の新車需要は各市場において前年度を下回る一方で、交換需要の増加等により、2024年度は全体で大幅な増収増益となり、連結業績は創業以来の過去最高益を達成した。
ヤマシンフィルタグループは、建機用フィルタビジネスにおける更なるシェア拡大と収益性の改善に取り組んでおり、主要得意先に対して、環境負荷低減に貢献するナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品の供給を本格的に開始した。また、北米市場のシェア拡大についても着実に進展しており、建機用フィルタ事業の更なる成長と資本効率の改善が着実に進展している。 エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの交換需要の減少や、基幹システムの導入に伴う販売管理費の増加により、減収減益となった。同社グループは、ロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名NanoWHELP(ナノウェルプ))の供給の拡大に向けた取り組みを強化するとともに、今後、国内市場のみならず、健康や環境被害を排除するための規制の強化がEUから各国に広がり始めている欧州市場をはじめとした海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいく。
また、新たな市場開拓の取り組みとして、Yamashin Nano FilterTM の持つ素材の可能性を活かし、新規事業領域における製品開発を継続している。具体的には、実績のあるアパレル分野に加え、耐熱性、導電性の特性を活かし、断熱材市場やスマートテキスタイル市場への進出を視野に入れ、研究開発を継続していく。
今後も同社グループは、総合フィルタメーカとして「環境」「空気」「健康」をテーマに持続可能な社会・経済活動に貢献する企業として社会的責任を果たしていく。
ヤマシンフィルタ2025年3月期データ
■今後の見通し
2026年3月期の当社を取り巻く、建機用フィルタ事業においては、新車の販売台数は前年度と同水準で推移する見通しである一方で、交換需要は引き続き堅調に推移することが見込まれる。また、地政学リスクを背景とした資材価格やエネルギーコストの高騰については依然として終息のめどが立た
ず、先行き不透明な状況が継続している。更には、米国の関税政策の影響による建機市場の需要減退が懸念されるが、政策動向は流動的であり先行き
を見通すことが困難な状況にあること、また、同社グループのサプライチェーンにおける米国向け製品の関税の影響は僅少であり、影響額については販売価格の改定等により負担を最小化することが可能であることから、業績の見通しには織り込んでいない。
2026年3月期の建機用フィルタ事業の見通しについては、このような事業環境を踏まえ、保守的な見地から通期の業績見通しを作成している。売上高については、販売数量は前年度をわずかに下回る一方で、販売単価の改善等により増収となる見通し。利益面においては、アルミや鋼材を中心とした主要原材料価格については、高止まりの継続が想定されることに加え、人的資本への投資の一環として給与水準の引き上げ(6%ベースアップ)による固定費の増加が見込まれるものの、販売価格の改善や原価改善の効果等により固定費の増加を上回る収益改善が見込まれることから、増益となる見通し。
エアフィルタ事業においては、既存製品の販売が低調である一方、ナノファイバー製エアフィルタをはじめとした高付加価値製品ラインナップの展開による新規顧客の獲得により増収となる見通し。利益面においては、増収に伴う収益性の改善が見込まれる一方で、基幹システムの導入に伴う販売管理費の一時的な増加により、前年度と同水準となる見通し。
以上の状況を踏まえ、2026年3月期連結業績予想は、以下のとおりとした。
売上高204億20百万円(以下、前期比1.6%増)、営業利益27億20百万円(3.4%増、経常利益27億50百万円(3.0%増)、親会社株主に帰属す る当期純利益19億10百万円(10.8%増)。
なお、業績見通しにおける為替レートは、1米ドル145円、1ユーロ165円を前提としている。
ヤマシンフィルタの2025年3月期 決算短信
決算説明資料(速報版)
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