極東開発、24年度売上は9.7%増の1,404億円、25年度予想は19.6%増の1,680億円

 極東開発工業が5月14日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は前期比 9.7%増の1,404億49百万円、営業利益は同38.0%増の66億56百万円、経常利益は同22.7%増の68億90百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同66.2%増の58億20百万円となった。

 2024年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や、企業の好調な業績を背景とした設備投資の増加などにより緩やかな回復基調が続いた一方で、継続的な物価高に加え、米国新政権の政策動向による世界経済への影響の懸念等によって、景気は依然として先行きが不透明な状況となっている。このような状況下、同社グループは2031年3月期(2030年度)を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~の実現に向けた第1ステップである中期経営計画(3カ年計画)2022-24 ~Creating The Future As One~(2022年4月1日~2025年3月31日)の総まとめとして、生産性向上による利益体質の強化や、持続的成長と変革を支える強固な事業基盤の構築など各施策の実行に努めた

 極東開発工業2024年度データ

■セグメント概要
<特装車事業>
 受注は国内・海外ともに底堅く、好調に推移した。また継続的に取り組んできた製品価格改定の効果が表れたことや、トラックシャシの供給が徐々に改善してきたこと等に伴う生産性の向上により、売上高・利益共に増加した。なお、2025年4月に特装車の一部製品及び特装車向け補修用部品について販売価格の改定を行っている。
 国内の取り組みとしては、営業体制の強化とストックビジネスの拡充を目的として、2024年4月に東北支店を移転拡張した。同拠点は直営サービス工場である「エフ・イ・オート 仙台サービスセンター」も併設している。また2024年12月には、横浜工場で小型リヤダンプトラックボデー自動化ラインが、2025年3月には日本トレクスが本社工場内で建設していたトレーラ生産用の新工場棟がそれぞれ完成し、生産体制の強化を図った。
 さらに、2024年10月に2t車級回転板式ごみ収集車「パックマン®」(排出板押出式)をフルモデルチェンジしたほか、東京都港区にBEVシャシ向け電動式ごみ収集車「eパッカー®」の特別仕様車で、日本初となる「eCanter」架装の環境学習用スケルトンパッカー車を納車した。
 今後に向けた成長投資としては、IoT・AI等の新技術をはじめ、カーボンニュートラルに向けた社会的変革に対応する研究開発体制の強化を目的とした当社グループ研究開発拠点(極東開発グループテクニカルセンター)の建設を進めた。
 海外事業では、インドのグループ会社であるSATRAC社がチェンナイ市近郊の新工場建設を進めたほか、2024年12月にオーストラリアの特装車メーカーであるSTG Global Holdings Pty Ltdの株式を取得し、グループ化した。今後、各国の多様なニーズに対応した高品質な製品をタイムリーに提供できる体制を構築し、海外事業のさらなる成長・拡大を図っていく。
 セグメントの売上高は前期比10.8%増の1,187億08百万円、営業利益は同90.7%増の46億76百万円となった。

<環境事業>
 プラント建設では受注済物件の建設工事と新規物件の受注活動を進めた結果、2024年6月に兵庫県尼崎市より一般廃棄物処理施設の整備・運営事業を、2024年7月に石川県輪島市と穴水町の1市1町で構成される輪島市穴水町環境衛生施設組合よりマテリアルリサイクル推進施設の整備工事を、2024年9月に大分県由布市よりごみ中継施設の整備工事をそれぞれ受注した。併せて、メンテナンス・運転受託等のストックビジネスについても引き続き注力した。
 セグメントの売上高は前期比2.7%増の141億93百万円、営業利益は同4.8%増野27億72百万円となった

<パーキング等事業>
 立体駐車装置はリニューアル及びメンテナンス等のストックビジネスに注力し収益の確保を図ったほか、新規物件の積極的な受注活動にも注力した。コインパーキングは稼働率の向上と採算性重視の事業展開を進め、売上・利益の確保を図った。また新事業である立体駐車装置・コインパーキング向けEV用充電設備設置・充電管理サービス「Charge-mo®(チャージモ)」の展開を進めた。
 セグメントの売上高は前期比6.3%増の81億87百万円、営業利益は同8.5%増の8億47百万円となった。

■今後の見通し
 我が国経済は、賃上げに伴う所得の改善により緩やかな景気回復が続くものと期待される一方で、物価やエネルギー価格の継続的な上昇や、米国における相互関税による世界的な景気後退の懸念など、今後も予断を許さない状況が続くと見込まれる。

 同社グループは、2025年3月期をもって従前の中期経営計画が計画期間満了を迎え、2031年3月期(2030年度)を見据えた長期経営ビジョン ~Kyokuto Kaihatsu 2030~の実現に向けた第2ステップとして新中期経営計画(3カ年計画)2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ](2025年4月1日~2028年3月31日)を下記のとおり策定した。

【中期経営計画2025-27 [ Creating The Future As One (Ⅱ) ]】 長期経営ビジョンでは、「サステナブル社会の実現・発展に貢献し業界をリードするグローバルな総合インフラメーカー」を目指しているが、その実現に向けた第2ステップとして策定した同計画では、5つの基本方針を定め、確実な計画実行により極東開発グループの基盤確立を図る。また、これまでの事業活動で得た資金と中期経営計画の期間において獲得するキャッシュ・フローをメインに効率的調達も含め「成長への積極的投資」と「社会・ステークホルダーへの還元」とのバランスのとれた戦略によって投資・還元のキャッシュアロケーションを最適化し、最重要課題の一つである企業価値のさらなる向上を図る。

 2026年3月期(2025年度)連結業績予想は、売上高1,680億円(前期比 19.6%増)、営業利益96億円(44.2%増)、経常利益95億 円(95%増)、親会社株主に帰属する当期純利益65億円(11.7%増)を予想している。

 極東開発工業の2025年3月期決算短信