芝浦機械、24年度売上は4.7%増の1,682億円、25年度予想は16.8%減の1,400億円

 芝浦機械が5月12日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は工作機械が国内、中国、北米で減少したが、中国におけるリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の増加により、1,681億9千1百万円(以下、前年度比4.7%増、海外比率77.1%)となった。損益については、規模増加などによる増益効果により、営業利益は140億9千5百万円(3.5%増)、経常利益は為替変動の影響等により、140億8千5百万円(3.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度に計上した固定資産売却益などの反動減により、125億9千7百万円(29.7%減)となった。

 また受注高は、射出成形機が国内、中国、インドにおいて増加、超精密加工機が国内、中国において増加したものの、押出成形機の中国におけるリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の減少により、1,073億4千6百万円(11.4%減、海外比率50.6%)となった。
 
 芝浦機械2025年3月期通期データ

 2024年度における世界経済は、回復基調で推移したが、中国の景気低迷の長期化、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化、米国トランプ政権による保護主義政策の影響など先行き不透明な状況が継続、後半にかけては景気の下押し圧力が強まった。
同社グループを取り巻く経済環境は、インド経済が堅調に成長している一方で、EV市場の減速や中国の景気低迷、部材・エネルギー価格の高止まり、さらに米国大統領選挙の影響など厳しい状況で推移した。
 このような経済環境のもとで、同社グループは中期経営計画「中計2026」(2025年3月期~2027年3月期)で掲げている事業ポートフォリオの組み替え、顧客の生産性向上に寄与するシステムエンジニアリング装置販売・直
販への軸足シフト、事業ポートフォリオ組み替えにリンクした人材戦略、ESG経営の推進等の基本方針に基づき、脱炭素社会、EV、再生可能エネルギー、労働生産性向上などに関連した商品の開発と提供、DX戦略の推進などの諸施策を遂行している。

■セグメント別の概況
<成形機事業>[射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など]
 射出成形機の販売は、国内、中国、インドで増加したものの、北米、東南アジアで減少した。受注は国内における自動車向け、中国、インドで増加した。
 ダイカストマシンは、自動車向けが、販売はインド、韓国で増加、受注は東南アジアで増加したものの、国内、中国、韓国で減少した。
 押出成形機の販売は中国におけるリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が大幅に増
加、受注は国内における光学向けが増加したものの、EV需要の伸びの鈍化などの影響により中国でリチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置が大幅な減少となった。
 この結果、成形機事業全体の受注高は752億1百万円(16.1%減、海外比率59.3%)、売上高は1,371億1千3百万円(11.0%増、海外比率86.4%)、営業利益は141億4千8百万円(9.2%増)となった。
<工作機械事業>[工作機械(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤など)、超精密加工機など]
 工作機械の販売は、国内、中国、北米で減少いたしました。受注は国内で増加したものの、北米、中国で減少した。
 超精密加工機の販売は国内で増加したものの、中国において減少、受注は国内における光学レンズ向け、半導体製造装置向け、中国における車載レンズ向け、光通信関連向けが増加した。
 この結果、工作機械事業全体の受注高は241億2千4百万円(6.7%増、海外比率38.6%)、売上高は213億8百万円(18.0%減、海外比率49.9%)、営業利益は5億8千5百万円(15.1%増)となった。

<制御機械事業>[産業用ロボット、電子制御装置など]
 制御機械の販売は、販売と受注は国内における電子制御装置が減少した。
 この結果、制御機械事業全体の受注高は64億1千4百万円(15.7%減、海外比率6.3%)、売上高は81億1千2百万円(18.2%減、海外比率7.7%)、営業利益は1億8百万円(67.5%減)となった。

<その他の事業>
 その他の事業全体の受注高は16億6百万円(20.1%増、海外比率2.1%)、売上高は16億5千5百万円(34.4%増、海外比率1.6%)、営業損失は7億2千5百万円(営業損失2億2千3百万円)となった。

■次期の見通し
 今後の経済環境は、中国での経済不況、長引くウクライナ情勢や中東情勢、物価上昇に加え米国トランプ政権による関税政策の影響により、設備投資にも慎重な姿勢が見られるなど、先行き不透明な状況が続くものと考えられる。このような状況のもと、世界市場の需要動向を見極めた上で、脱炭素社会、循環型社会の実現へ向けた自動車のEV化、風力発電などの再生可能エネルギー関連へ対応した商品の提供と開発、更なる生産性改善、商品力・生産性の向上を目指したDX戦略の推進などの諸施策に加え、2024年4月よりスタートした中期経営計画「中計2026」(2027年3月期を最終年度とする)で掲げている事業ポートフォリオの変革を中心とした各施策を遂行していく。
 2026年3月期の見通しについては、売上高1,400億円(以下、前年度比19.4%減)、営業利益50億円(64.5%減)、経常利益50億円(64.5%減)、親会社株主に帰属 する当期純利益33億円(73.8%減)を予想している。

 なお、通期見通しにあたっての為替レートは、1米ドル=145円を前提としている。

 芝浦機械2025年3月期決算短信
 決算補足資料