・通期予想は米国通商政策による影響見込まず タダノが5月9日に発表した2025年12月期第1四半期(1〜3月)連結業績によると、売上高804億9千5百万円(前年同期比128.9%)、海外売上高比率は70.6%となった。うち日本向け売上高は、建設用クレーンが減少したものの、車両搭載型クレーン・高所作業車が増加し、237億3百万円(前年同期比110.0%)。海外向け売上高は、米国Manitex International, Inc.(以下、Manitex社)の買収もあり、北米・欧州を中心に増加し、567億9千1百万円(前年同期比138.8%)となった。売上が増加したものの、買収関連費用等の計上もあり、営業利益は53億9千2百万円(前年同期比95.9%)、経常利益は41億5千5百万円(前年同期比89.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は37億2百万円(前年同期比183.8%)となった。
2025年1〜3月期におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中、各種政策効果もあり、緩やかに回復した。海外においても、一部地域に足踏みがみられるものの、景気は緩やかに回復した。一方で、米国通商政策による影響や地政学的リスクの高まり等により、先行き不透明感が増す中、世界経済の下振れが懸念される。 タダノは2024年11月、IHIの連結子会社であるIHI運搬機械の運搬システム事業をグループ会社化することを決定した。今後IHIが、新たに設立する会社(新設会社)に対して、対象事業を継承させた上で、タダノが新設会社の全株式を取得する契約を締結した。タダノグループは「移動式クレーン」の分野では長い歴史とグローバルでの販売実績を有しているが、同事業が有する「固定式クレーン(港湾クレーン・タワークレーン)」は新たな製品群となる。また、タダノグループがドイツで生産する「ラチスブーム式クローラクレーン」とも親和性があり、世界中でニーズが高まっている洋上風力分野においても今後の活躍が期待される「リングリフトクレーン」も有している。タダノグループの事業領域(LE:Lifting Equipment)における新事業分野への挑戦として同事業の買収を決定した。買収完了は、2025年7月を予定している。
タダノ2025年第1四半期データ
■セグメント別の状況
1)日本
建設用クレーン・車両搭載型クレーン・高所作業車が堅調に推移し、売上高は433億3千1百万円(前年同期比102.7%)、買収関連費用等の計上もあり、営業利益は58億1千7百万円(前年同期比79.6%)となった。
2)欧州
建設用クレーンの売上が増加、Manitex社買収による車両搭載型クレーン・高所作業車の売上も加わり、売上高は247億6千1百万円(前年同期比146.3%)、営業利益は18億8千9百万円の損失(前年同期29億7千4百万円の営業損失)となった。
3)米州
建設用クレーンの売上が増加、Manitex社買収による車両搭載型クレーン・高所作業車の売上も加わり、売上高は327億1千8百万円(前年同期比138.0%)、買収関連費用等の計上もあり、営業利益は7億7百万円(前年同期比52.5%)となった。
4)オセアニア
建設用クレーンの売上が減少したものの、中古車売上が増加し、売上高は26億1千9百万円(前年同期比102.6%)、営業利益は1億9千2百万円(前年同期比100.9%)となった。
5)その他
建設用クレーンの売上が堅調に推移し、売上高は16億4百万円(前年同期比111.1%)、営業利益は4千3百万円(前年同期比99.0%)となった。
■主要品目別の状況
1)建設用クレーン 日本向け売上高は、大規模工事が実施・計画されているものの、慢性的なオペレーター不足や資材価格高騰の影響等もあり、88億9千5百万円(前年同期比87.6%)となった。海外向け売上高は、一部地域を除き、ここ数年の急速な需要増加基調に落ち着きが見え始める中、販売に注力した結果、401億3千1百万円(前年同期比120.0%)となった。この結果、建設用クレーンの売上高は490億2千6百万円(前年同期比112.5%)となった。
2)車両搭載型クレーン
日本向け売上高は、トラックシャシ供給が改善し、42億3千7百万円(前年同期比113.8%)となった。
海外向け売上高は、Manitex社買収による売上も加わり、61億8千9百万円(前年同期比956.0%)となった。この結果、車両搭載型クレーンの売上高は104億2千6百万円(前年同期比238.5%)となった。
3)高所作業車
日本向け売上高は、トラックシャシ供給が改善し、54億5千6百万円(前年同期比205.8%)となった。海外向け売上高は、Manitex社買収による売上も加わり、11億9千7百万円(前年同期比830.3%)となった。この結果、高所作業車の売上高は66億5千4百万円(前年同期比238.1%)となった。
4)その他
部品、修理、中古車等のその他の売上高は、143億8千7百万円(前年同期比122.9%)となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2025年2月14日付けの2025年12月期連結業績予想(下記)は変更せず、米国通商政策による影響も見込んでいない。
売上高3,400億円(16.6%増)、営業利益240億円(0.9%増)、経常利益200億円(5.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益150億円(125.8%増)。
タダノの2025年12月期第1四半期決算短信
決算説明資料
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