富士フイルム(東京都港区)は5月7日、エレクトロニクス製造業界大手のTata Electronics Private Limited(インド タミル·ナードゥ州、以下、タタ・エレクトロニクス社)とインドでの半導体材料の生産体制およびサプライチェーンの構築に向けた提携に関する基本合意書(MOU)を締結したと発表した。インド初の半導体前工程製造工場や、大規模な半導体後工程製造工場の建設を進めているタタ・エレクトロニクス社のニーズに合わせた半導体材料を開発・提供することで、インドでの半導体材料エコシステムの構築に貢献していく。
世界的なデジタル化の加速に伴い半導体需要が増える中、インドは、半導体のほぼすべてを輸入に依存している。現在、インド政府は、経済的・戦略的な重要課題として半導体の国産化を進めている。
タタ・エレクトロニクス社は、インドのグジャラート州ドレラに半導体前工程製造工場を、アッサム州ジャギロードに半導体後工程製造工場を建設中。富士フイルムは、前工程から後工程まで幅広い半導体材料を持つ強みを生かし、タタ・エレクトロニクス社の広範囲にわたる半導体製造プロセスにおいて、ニーズに合った半導体材料の開発と提供を加速することで、同社の半導体製造立上げを支援していく。また、富士フイルムは今後、インドでの半導体材料工場の設立や原材料の調達も検討し、今後大きな成長が見込まれるインド半導体関連市場の需要を取り込むことで半導体材料事業の成長をさらに加速させるとともに、同国における強固な半導体材料エコシステムの構築に寄与していく。
富士フイルムは、フォトレジスト*1やフォトリソグラフィー周辺材料*2、CMPスラリー*3、ポストCMPクリーナー*4、薄膜形成材*5、ポリイミド*6、高純度プロセスケミカル*7など半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料や、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした Wave Control Mosaic(ウエイブ コントロール モザイク)™*8などをグローバルに展開している。
富士フイルムは今後も、最先端からレガシーノードまで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決に取り組み、半導体産業の発展に貢献していく。
*1 半導体製造の工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。
*2 半導体製造のフォトリソグラフィー工程で使用する現像液やクリーナーなど。
*3 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。CMPは、Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)の略。
*4 CMPスラリーによる研磨後に、金属表面を保護しながら、粒子、微量金属および有機残留物を洗浄するクリーナー。
*5 低誘電率の絶縁膜を形成するための材料。
*6 高い耐熱性や絶縁性を持つ材料。半導体の保護膜や再配線層の形成に使用される。
*7 洗浄・乾燥工程に使われる高純度薬品。半導体製造の洗浄・乾燥工程で異物を除去したり、エッチング工程にて金属や油脂などを取り除くために使用する化学薬品。
*8 広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群の総称。デジタルカメラやスマートフォンに用いられるCMOSセンサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料を含む。Wave Control Mosaicは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標。