・富山県氷見市に製造ライン増設、3,000mm 幅を生産へ
日本ゼオン(東京都千代田区)は4月25日、氷見二上工場(富山県高岡市二上新422-1)において、大画面液晶テレビ用位相差フィルムの新ライン増設を決定したと発表した。今回の増設により、拡大が見込まれる大画面テレビ市場向け製品供給が拡大することに加え、敦賀工場(福井県敦賀市)と併せた 2 拠点体制をさらに盤石にすることでBCP強化も図る。増設後のゼオンのテレビ用位相差フィルムの生産能力は約20%増え、年間 26,400 万㎡に拡大する。新ラインは、2025 年 12 月に着工、2027 年夏の量産開始を目指す。
ゼオンの光学フィルム(製品名:ZeonorFilm® 以下、ゼオノアフィルム)は、ゼオン独自のポリマー設計技術で開発した熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー* 以下、COP)を原料に用い、世界初となる溶融押出法により生産されている。ゼオノアフィルムは、高い光学特性と優れた寸法安定性を有しており、大型テレビやモバイル機器のディスプレイに視野角補償や反射防止等の機能を持たせる位相差フィルム用途を中心に需要が拡大している。
2020 年以降、ゼオンは液晶パネルの大型化に伴い、2,500mm 幅フィルムの生産を敦賀工場で行っており、現在、同幅2系列の生産設備を有している。今回の投資は、さらに加速する大型化ニーズに応えるもので、最大 130 インチの液晶パネル生産にも対応可能な世界最大級となる 3,000mm 幅フィルムを生産する。
今回は、氷見二上工場内に新たな建屋を建設し、年間 4,500 万㎡の生産能力を有する設備を導入する。増設完了後の 2,500 ㎜幅以上のフィルム生産能力は 14,500 万㎡となり、テレビ用位相差フィルム全体の生産能力は
年間 26,400 万㎡に拡大する。なお、今回の増設ラインの量産開始は2027 年夏を予定しており、操業人員の確保も進めていく。
ゼオンは、中期経営計画STAGE 30 において磨き上げる既存事業のひとつに COP を掲げており、今後も市場ニーズを捉え社会
の期待に応えるとともに、人々の快適なくらしに貢献していく。
*シクロオレフィンポリマー(COP):ゼオンが独自開発した「低吸水性」「低不純物」「低アウトガス」などの特長を持つ透明性が高い熱可塑性プラスチック。光学、医療、半導体搬送容器などの幅広い用途に使用される。2025 年 9 月には高岡工場内でリサイクルプラント(年産能力:6,000 トン)が稼働開始、2028 年には山口県周南市において新プラント(年産能力:12,000 トン)の稼働を予定。ゼオノアフィルムは、COP を独自技術で加工したフィルムで、COP の低吸水性を活かし、優れた寸法安定性を誇ることで特に大型パネルにおいて強みを発揮。
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